Fusianasan

fusianasan：電子掲示板におけるリモートホスト表示機能といたずら

fusianasan（フシアナサン）は、かつて2ちゃんねる（現5ちゃんねる）を始めとする電子掲示板において、書き込み者のリモートホスト（接続元のIPアドレス情報）を匿名掲示板上に表示させる機能、そしてその機能を呼び出す特定の文字列を指します。

機能の概要と歴史

初期の2ちゃんねるでは、利用者の身元をある程度確認するための手段として導入されました。名前欄に「fusianasan」を含む文字列を入力すると、IPアドレス情報が特殊な表示形式で表示される仕組みです。通常のリモートホスト表示とは異なり、細文字で表示されるのが特徴でした。

しかし、その後は悪用されるようになり、主に初心者を標的にしたいたずら、「fusianasanトラップ」が横行するようになりました。このトラップは、様々な偽情報を提示して利用者に「fusianasan」と入力させることで、リモートホストを晒し上げるものです。

2017年第3四半期頃、5ちゃんねるではこの機能が廃止されましたが、2ch.scなど一部の掲示板では現在も残っているようです。同様の機能は、「山崎渉」という文字列でも存在していました。これは特定のハンドルネームによる荒らし行為への対策として導入されたものです。

さらに、ユーザーエージェント情報が空白の場合にも強制的にfusianasanに変換される仕様が追加された時期もありました（2010年後半～2011年頃）。過去には「mokorikomo」という文字列でも同様の機能がありましたが、現在は廃止されています。

アクセス規制がかかっている掲示板においては、fusianasanを入力することで書き込みを可能にするケースもありました。この際、リモートホストの前に[´・ω・｀]という文字列が表示されると、その回線がアクセス規制中であることを示唆します。

掲示板によっては、fusianasanを入力すると表示される文字列が長すぎて名前欄に収まらない、あるいは名前欄に入力がない場合にfusianasanがデフォルトで設定されているなど、掲示板ごとに異なる挙動を示す場合がありました。

fusianasanトラップの手口

fusianasanトラップは、様々な偽情報を利用して、初心者を騙して「fusianasan」を入力させます。例えば、以下のような手口が用いられていました。

利用料金の確認を装う
裏掲示板へのアクセス方法として提示する（例：「http://fusianasan.2ch.net」への誘導）
入力ミスを装い、正しい入力方法を誘導する（例：fushianasan→fusianasan）
個人情報の漏洩を回避できると主張する
書き込みの削除機能を謳う
おみくじ機能などの遊び機能と偽る
潜在能力診断と称する（「天地川海岸山崎渉航谷気岩」の入力誘導）
個人情報閲覧機能を謳う（例：「nanafusianasanix」の入力誘導）
* その他、JavaScriptなどを用いた複雑なトラップ

これらのトラップは全て、リモートホスト表示で終わるだけで、謳われている機能は一切存在しません。

メディア報道と批判

2004年の佐世保小6女児同級生殺害事件の際、fusianasanトラップによって毎日新聞社のIPアドレス（gate-i.ped.mainichi.co.jp）が2ちゃんねる上に公開されるという事態が発生しました。毎日新聞は翌日の紙面でこの事件を報道し、2ちゃんねるのいたずら行為を批判しました。さらに、この書き込みには、騙された記者の名前の頭文字とローマ字表記の苗字と一致する文字列が含まれていたことが判明しています。

まとめ

fusianasanは、電子掲示板の歴史において、機能としての側面と、悪用事例としての側面を併せ持つ興味深い事例です。初期の本人確認手段から、初心者をターゲットにしたいたずらへと変遷し、掲示板文化の一端を垣間見せる存在と言えるでしょう。

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