G2 (雑誌)

ノンフィクション雑誌『G2』：時代の変化を映し出した7年間の軌跡

2009年から2015年まで、講談社より発行されていたノンフィクション雑誌『G2』。休刊となった『月刊現代』の後継誌として、雑誌、単行本、ネットの三位一体を標榜し、時代の変化を捉えようと試みた意欲的なメディアでした。本稿では、『G2』の創刊から休刊までの歩み、編集長たちの役割、掲載された代表的な記事、そして同誌を巡る論争などについて、詳細に見ていきます。

創刊と編集長

『G2』は、後に『週刊現代』編集長となる藤田康雄氏によって創刊されました。創刊号は2009年9月5日に発売され、同日には紀伊國屋ホールで記念シンポジウムが開催されるなど、大きな注目を集めました。編集長は創刊から10号まで藤田氏が務め、その後は吉田仁氏、そして講談社学芸局長となる林辺光慶氏が引き継ぎました。3人の編集長の個性と手腕が、『G2』の編集方針や記事選定にどのように影響を与えたのかは、興味深い点です。

多様な視点と挑戦的な記事

『G2』の特徴として、多様な執筆陣と幅広いテーマ設定が挙げられます。創刊号から最終号まで、著名なノンフィクション作家やジャーナリスト、評論家らが数多く寄稿。池田大作氏へのインタビュー、沖縄密約事件の新たな証言、児童虐待問題のルポルタージュ、東日本大震災に関する記録など、社会の様々な問題に鋭く切り込みました。

さらに、デジタル出版の未来や、婚活詐欺といった現代社会特有のテーマにも積極的に取り組んでいました。経済、政治、社会問題、文化、そして科学技術など、その内容は多岐に渡り、読者に多角的な視点と知的な刺激を与えたと言えるでしょう。

批判と論争

しかし、『G2』は常に順風満帆だったわけではありません。創刊から間もない2号に寄稿した佐野眞一氏は、月刊誌『創』で『G2』を痛烈に批判しました。アクチュアリティの欠如や、記事の編集が不十分であることを指摘し、大きな波紋を広げました。

この批判は、『G2』が目指した新しいノンフィクションメディアとしてのあり方、そしてその実現可能性について、改めて問いかける契機となりました。この論争は、雑誌のあり方やノンフィクションの役割について、深く考えるきっかけになったと言えます。

雑誌、単行本、ネットの三位一体

『G2』は、雑誌という枠にとらわれず、公式サイトで記事の全文を公開するなど、積極的にデジタルメディアを活用していました。これは、当時のメディア環境の変化をいち早く捉えた試みであり、雑誌、単行本、ネットの三位一体を目指した野心的な戦略の一部でした。無料会員登録で閲覧できるシステムも、多くの読者にとってアクセスしやすい環境を提供することに貢献しました。

『G2』の遺産

2015年の休刊をもって、『G2』は幕を閉じました。しかし、6年間で発表された数々の記事は、現代社会の様々な問題を記録し、後世に残る貴重な資料となっています。その挑戦的な試みと、数々の論争は、日本のノンフィクション雑誌史に大きな足跡を残したと言えるでしょう。また、デジタルメディアとの連携という点では、後続のメディアにも大きな影響を与えたと考えられます。

『G2』は、単なる雑誌を超えて、時代を反映し、その変化を先取りしようとしたメディアでした。その挑戦的な姿勢と残された記録は、今なお私たちの考えるヒントを与えてくれるでしょう。

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