GE-600シリーズ

GE-600シリーズについて

GE-600シリーズは、1960年代にゼネラル・エレクトリック（GE）によって開発された36ビットメインフレームコンピュータのシリーズで、特にMulticsというオペレーティングシステムを動作させたマシンとしても知られています。このコンピュータシリーズは、軍事プロジェクトや商業用途でも幅広く利用されました。

アーキテクチャ

GE-600シリーズのアーキテクチャは、36ビットワードと18ビットアドレスを使用しています。この設計には、2本の36ビットアキュムレータ、8本の18ビットインデックスレジスタ、1本の8ビット指数レジスタが含まれています。さらに、36ビットの単精度浮動小数点数と、72ビットの倍精度浮動小数点数をサポートしており、特に指数部の保持方法によって高い精度を実現しました。

アドレッシングモードは多様で、自動インクリメントや自動デクリメントをサポートするなど、柔軟で高機能です。また、バイトサイズに関しては6ビットまたは9ビットをサポートし、特定のバイトを取り出すことも可能でしたが、任意のバイトへのアクセスは難しいという制約がありました。入出力処理については多くのチャネルコントローラを搭載し、主CPUが入出力が完了するまで他の処理を進めることができます。この仕組みによってタイムシェアリングも可能となりました。

歴史

1960年代初頭、GEは大型メインフレーム市場への参入を決定します。1959年には、軍のMISTRAMプロジェクト用に開発が始まったM236というコンピュータが、36ビットワードのアーキテクチャを採用していました。GEは当初、商用コンピュータ市場への参入を考えていませんでしたが、顧客としてIBMへの依存を減らす方策として、独自のコンピュータ開発を推進しました。このプロジェクトは、1963年に商業化され、GE-635やGE-625といったモデルが登場しました。

GE-600シリーズは、特にMulticsのサポートによって注目を集め、好調な受注を記録しましたが、磁気テープ装置の故障が影響を及ぼしました。1966年には受注を停止し、翌年には問題が解決され改良版のGECOSオペレーティングシステムとともに復活しました。GE-635はDartmouth Time Sharing Systemにも利用され、注目を集めました。

Multicsとの関係

1964年にはMulticsプロジェクトが始まり、GEのコンピュータハードウェアが採用されることが決まりました。このプロジェクトによって、GE-645が開発され、複数のセキュリティ階層を持つCPUや、仮想記憶をサポートするための新しい命令が追加されました。これにより、メモリ空間が大きく拡張され、より効率的なデータ処理が実現されました。

GEの撤退とその後

しかし、GEの中型機シリーズにも問題が発生し、コンピュータ部門全体の再編成が必要となりました。1970年、GEはコンピュータ部門をハネウェルに売却し、GE-600シリーズはハネウェル6000シリーズとして継続される運命にありました。後には小型のバージョンとして6030から6070までの機種がリリースされました。

日本との関わり

日本では、1964年に東芝とGEの間で技術提携契約が結ばれ、1970年にはGE-600シリーズの技術が導入されました。しかし、東芝が関与したメインフレーム事業も後に撤退し、技術が日本電気へと移行していくこととなります。日本電気はACOSを開発し、GE-600シリーズの流れを受け継ぐことになりました。

このように、GE-600シリーズはコンピュータ技術歴において重要な位置を占めており、その影響は今もなお続いています。

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