GOES

GOESシリーズについて

GOES（Geostationary Operational Environmental Satellite）は、アメリカ合衆国が1975年から運用を開始している静止気象衛星のシリーズです。これらは主に気象観測のために利用されますが、太陽からのX線や地球を取り巻く環境の広範な観測が行えるように設計されています。GOESはNASAが開発し、NOAA（アメリカ海洋大気庁）が運用を担当しています。

GOESの配置と概要

GOES衛星は、アメリカ大陸上空で東西にそれぞれ1機ずつ配置されており、GOES-Eastが西経75度、GOES-Westが西経135度に位置しています。これにより、広範囲にわたる気象データがリアルタイムで観測される仕組みです。これまでのGOESシリーズでは、特に気象条件の変化や熱帯低気圧のモニタリングを重視してきました。

GOES-Rシリーズ

2016年11月にGOES-R（GOES-16）が打ち上げられ、翌年から実際の運用が開始されました。GOES-Rシリーズは技術的な革新が図られ、従来の観測機器よりも大きく強化されています。GOES-S（GOES-17）は2018年に打ち上げられ、2019年には西経137.2度に移動して運用を開始しています。

ABI（Advanced Baseline Imager）

GOES-Rシリーズの目玉は、改善された観測装置であるABIです。この装置は、従来のGOESシリーズのイメージャーやサウンダーの進化版で、全球観測を従来の24分から5分に短縮し、観測チャンネル数も16に増加しています。GOES-17では、周囲の環境に応じた特別な観測スケジュールが導入されています。

GLM（Geostationaly Lightning Mapper）

GOESシリーズには、雷光を観測するGLMも搭載されており、静止衛星としては新しい取り組みです。このシステムによって、雷の発生をいち早く察知し、災害防止につなげることが期待されています。

システムの拡張

SEISS（Space Environmental In-Situ Suite）もGOESの観測能力を拡張するために追加されています。この装置は、X線の短波長側の観測を行うことができ、宇宙環境の監視に役立っています。さらに、GOESシリーズでは、データの再送信システムも強化されており、GRB（GOES Rebroadcast）によって、観測データの転送速度が大幅にアップしています。

GOESの仕様

GOES-16とGOES-17の最大寸法は長さ6.1 m、高さ5.6 m、奥行3.9 mとなります。打ち上げ時にはそれぞれの質量が5,192 kgですが、運用終了時には軽減され2,857 kgにまで減少します。これらの衛星は約15年間の運用を予定され、最大4,000 Wの電力を供給します。

まとめ

GOESシリーズは、アメリカの気象観測の新たな基準を打ち立て、多様な環境条件を監視する上で不可欠な存在です。新しい技術の導入により、より迅速かつ正確なデータの取得が可能になり、今後もさらなる発展が期待されています。

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