Gelato (ソフトウェア)

Gelatoは、NVIDIAが開発したハードウェアアクセラレーション対応のオフラインレンダラーです。その名前は、イタリア語で「凍った」または「アイスクリーム」を意味する「Gelato」に由来します。映画のような高品質な画像生成を目指し、RenderManに非常によく似たシェーディング言語を使用しています。

当初はNVIDIAのQuadro FX GPUでの使用を想定していましたが、後にQuadroクラスのGPUが必須ではなくなり、GeForceシリーズのグラフィックカードでも利用できるようになりました。この変更により、より幅広いユーザーがGelatoの高度なレンダリング機能を利用できるようになりました。

Gelatoの歴史

Gelatoは2004年4月に最初にリリースされました。当初、レンダラーはノードごとに数千ドルの価格設定でしたが、より多くのユーザーが利用できるようにするため、2006年後半にNVIDIAは製品を2つのバージョンに分割しました。

Gelato: 無料版で、基本的なレンダリング機能を提供していました。
Gelato Pro: プロフェッショナル版で、レンダーノードごとに1,500ドルで販売されていました。プロ版には、高度な機能が含まれていました。

2008年5月、NVIDIAはGelatoソフトウェア製品の開発とサポートを打ち切ることを発表しましたが、Gelato 2.0のリリースにより、GPU加速レンダリングの普及を促進するため、PC向けの無料版がリリースされました。無料版では、プロダクションレンダリングに必要な高度な機能は削除されていましたが、プロフェッショナルユーザーに完全版の購入を促すための措置でした。

しかし、2008年5月23日には、NVIDIAはGelato Proを無料でダウンロードできるようにしました。無料のGelato Proには、NVIDIAからの公式なサポートは提供されませんでしたが、ユーザーフォーラムが設けられ、ユーザー同士で情報を共有し、問題を解決することができました。

Gelato Proの特徴

Gelato Proには、以下の特別な機能が含まれていました。

NVIDIA Sorbettoインタラクティブ・再ライティング技術：レンダリング結果をインタラクティブに調整できる機能。
DSO shadeops：複雑なシェーダーを効率的に処理するための機能。
ネットワーク並列レンダリング：複数のコンピュータでレンダリングを分散処理し、高速化する機能。
マルチタスク：複数のレンダリングタスクを同時に実行できる機能。
ネイティブな64ビット対応：64ビットアーキテクチャを最大限に活用し、大規模なシーンを効率的に処理する機能。
メンテナンス及びサポート：NVIDIAからの公式なサポート（ただし、無料版では提供されませんでした）。

2008年7月末には、CUDAベースの新たなOptiXレイトレーシングエンジンのため、「Gelato Zone」全体がNVIDIAのウェブサイトから削除されました。この削除は、Gelatoの今後の方向性を示すものでした。

プラグイン

Gelatoは、様々な3Dソフトウェアとの連携を可能にするためのプラグインが提供されていました。

Mango: Maya用のプラグイン。
Amaretto: 3ds Max用のプラグインで、Frantic Films（現在のThinkbox Software）によって開発されました。

RenderManとの互換性

Gelatoは、RenderMan互換レンダラーであるBMRTおよびその後継のEntropyの後継として開発されました。しかし、Gelatoは独自のシェーディング言語であるGelato Shading Languageを使用しており、RIB形式の読み込みにも標準では対応していません。このため、RenderManとの完全な互換性はありませんでした。

ただし、NVIDIAが提供するオープンソースのプラグインRibelatoおよびrsl2gslを使用することで、Renderman形式のファイルも読み込めるようになり、互換性を向上させることができました。これにより、RenderManで作成されたアセットをGelatoで使用することが可能になりました。

Gelatoは、その高度なレンダリング機能とNVIDIAのサポートにより、多くのユーザーに利用されましたが、開発とサポートの終了により、現在は過去のレンダラーとなっています。しかし、その技術は後のGPUレンダリング技術の発展に貢献しました。

もう一度検索