Globus

Globusは、複数のコンピュータシステムやストレージシステムを連携させるグリッドソフトウェアの開発を推進する団体です。1995年に、アメリカ合衆国のアルゴンヌ国立研究所、南カリフォルニア大学情報科学研究所、シカゴ大学の3つの組織によって設立されました。その後、ヨーロッパからはスコットランドのエディンバラ大学とスウェーデン並列コンピュータセンターが重要なパートナーとして加わりました。

Globusが開発したGlobusツールキットは、グリッドコンピューティングを構築するためのオープンソースミドルウェアです。このツールキットは、資源管理、情報サービス、データ移動と管理など、グリッド環境で必要となるさまざまな機能を提供します。

Globusが提供する主なプロトコルには、以下のものがあります。

資源管理 (GRAM)：グリッド資源管理プロトコル（Grid Resource Management Protocol）で、計算資源の割り当てや管理を行います。
情報サービス (MDS)：監視と発見サービス（Monitoring and Discovery Service）で、グリッド内のリソースの状態や利用可能なリソースを把握します。
データ移動と管理 (GASS)：二次記憶への広域アクセス（Global Access to Secondary storage）を提供し、分散したストレージ間でのデータ転送や管理を可能にします。
GridFTP：高速なファイル転送のためのプロトコルで、大容量データの効率的な移動を実現します。
その他：上記以外にも、様々なプロトコルやサービスが提供されています。

Globusツールキットの初期バージョンでは、日本のRWCP（Real World Computing Project）で開発された並列分散コンピュータ技術を基にしたシームレス設計技術が取り入れられました。これにより、より効率的なグリッド環境の構築が可能となりました。

その後、Globusツールキットは、XML WebサービスベースのOGSI（Open Grid Services Infrastructure）の上に再構築され、バージョン3としてリリースされました。さらに、WSRF（WS-Resource Framework）を基盤としたバージョン4が開発されました。

Globusツールキット5では、Webサービスベースの部分が取り除かれ、リソース管理モジュールGRAM5は、バージョン2系列のGRAM2を強化したものが採用されました。これにより、より安定したリソース管理機能が提供されました。

Globusツールキット6まで開発が続けられましたが、2018年1月に開発が終了しました。しかし、Globusツールキットで培われた技術や考え方は、現代の分散コンピューティングやクラウド環境においても重要な役割を果たしています。

関連項目

グリッド・コンピューティング
コンピューター・クラスター

外部リンク

The Globus Alliance
Open Grid Forum

参考日本語サイト

烏合の衆コンピューティング(Web Archive)

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