GOPAN

GOPAN（ゴパン）とは

GOPAN（ゴパン）は、かつて三洋電機によって開発され、後にパナソニックが販売した画期的なホームベーカリーです。この製品は、米を粉にすることなく、そのまま米からパンを焼くことができる特徴があります。メーカーはこれを「ライスブレッドクッカー」と名付けて販売しました。

開発背景

三洋電機は、米粉を使ったパンを焼くホームベーカリーの開発を行っていましたが、当時の米粉は流通量が少なく、高価なため、消費者にはあまり普及しませんでした。そこで、彼らは米そのものを使ってパンを作るベーカリーの開発に着手しました。しかし、米が硬い特性を持つため、粉砕には大掛かりな機械が必要で、家庭用製品としては十分な実現性があるとは言えませんでした。

とはいえ、三洋は米を水に浸すことで軟化させ、その後細かくする「米ペースト製法」という独自のシステムを開発しました。この方法により、家庭で米から直接パンを作ることが可能になったのです。具体的には、高速回転するモーターと低速のこねるモーターを一つの回転軸で操作し、必要な材料と共に混ぜていきます。この画期的なアプローチは、当時、世界で初めての試みとされました。

製品の特徴

GOPANは、白米や玄米、雑穀を混ぜた米からパンを焼くことができ、従来のホームベーカリー同様に、小麦粉を利用したパンや、うどんや餅といった多様な生地を作ることも可能です。また、米と小麦粉の両方を使用してパンを焼くための「ごはんパンコース」や、小麦粉アレルギーを考慮した「小麦ゼロコース」などの機能も備えています。

ただし、GOPANは動作音が大きく、特に粉砕工程では約65dBの音が発生し、粉砕の際には30秒間稼働し5分間停止するサイクルが繰り返されます。このため、三洋は購入時にこの点を考慮するよう呼びかけています。

発売と人気

GOPANは2010年11月11日に発売され、消費者の注目を集めました。発売当日は完売し、予約後は数ヶ月待ちの状態となりました。生産が追いつかないほど需要が高まり、販売活況を呈しました。その結果、2011年9月末までに約16万台を販売し、ホームベーカリー市場全体に大きな影響を与えました。

パナソニックによる継承

2011年に三洋がパナソニックの子会社となった後、GOPANは「Panasonic」ブランド名で新モデルが発売されるようになりました。初代ゴパンの後、SD-RBM1000モデルが登場し、製品の改良が施されました。音の低減や新しい製パンコースの追加に加えて、動作音も約60dBにまで下がり、より使いやすい製品が提供されました。

新しいモデルと衰退

次に発表されたSD-RBM1001モデルは、さらなるコンパクト化と性能向上が図られました。特にインバーターモーターの採用により、運転音が約50dBに抑えられました。しかし、その後のモデルは開発されず、2024年時点でのGOPANは生産が終了しています。現在のパナソニック製ホームベーカリーは、米粉を使ったパンのみが対象となっています。

GOPAN cafe

さらに、2010年には表参道に「GOPAN cafe」が開設され、米粉パンを試食するイベントも行われ多くの関心を集めました。メインメニューのアメリカンバーガーでは、米粉パンが構成要素として提供され、ブランドの認知度を高める役割を果たしました。

GOPANは、家庭でのパン作りの新たな選択肢を提供し、米粉を使用した製品に対する需要を喚起した重要な製品でした。

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