GraphQL

GraphQLとは

GraphQLは、APIのために開発されたクエリ言語およびランタイムです。Facebookによって開発され、現在ではGraphQL Foundationによって管理されています。GraphQLは、クライアントが必要なデータの構造を定義し、サーバーはそれに対応するデータのみを返すという点で、従来のREST APIと比較して効率的で柔軟なアプローチを提供します。

GraphQLの仕組み

GraphQLでは、クライアントはクエリ内容を記述したドキュメントをサーバーに送信し、サーバーはクエリを実行して結果を返します。このドキュメントは、GraphQLクエリ言語を用いて記述されます。

従来のREST APIでは、リソースをURLパスで表現しますが、GraphQLではリソースをドキュメントで表現します。クライアントは、単一のAPIエンドポイントにこのドキュメントをPOSTすることでクエリを実行します。サーバーは、ドキュメント中のフィールドをリゾルバーによって解決し、クライアントが要求したデータ構造を返します。

GraphQLの大きな特徴は、クライアントが要求するデータの構造を自由に定義できる点です。これにより、過剰なデータ取得（オーバーフェッチ）や不足したデータ取得（アンダーフェッチ）を防ぎ、効率的なデータ取得が可能になります。また、GraphQLは型システム、クエリ言語、実行セマンティクス、静的な検証、型チェックで構成されており、複雑なAPIを扱う上での柔軟性と表現力に優れています。

GraphQLの機能

GraphQLは、以下の3つの主要な操作をサポートします。

クエリ (query): データの取得に使用します。
ミューテーション (mutation): データの変更に使用します。
サブスクリプション (subscription): リアルタイムのデータ更新に使用します。

Arguments: GraphQLでは、フィールドごとに引数を指定できます。これにより、リゾルバーの動作を制御し、特定の条件に基づいてデータを取得できます。

Directives: GraphQLでは、ディレクティブを使用してクエリの動作をさらに制御できます。ディレクティブは、フィールドにアノテーションを追加し、処理系に特定の処理を指示します。例えば、`@include`ディレクティブを使用して、特定の条件に基づいてフィールドを含めるかどうかを制御できます。

GraphQLの形式

GraphQLのドキュメントは、1つ以上の操作定義から構成されます。操作定義は、クエリ、ミューテーション、サブスクリプションのいずれかの操作を定義します。フィールドは、名前、引数、ディレクティブ、サブフィールドを持つことができます。

ドキュメントの例:

graphql
query ExampleQuery1 {
resource
}

query ExampleQuery2 ($var: S) @skip(if: false) {
time
}


フィールドの例:

graphql
{ resource }
{ time: resource (arg1: "arg") @skip(if:false) { subResource } }

値解決

値解決は、フィールドの値を算出するステップです。リゾルバー関数が、オブジェクト型、オブジェクト値、フィールド名、引数に基づいてフィールドの値を生成します。

GraphQLの歴史

GraphQLは、2012年にFacebookで開発され、2015年に公開されました。2018年には、GraphQL Foundationに移管されました。GraphQLは、ウェブプラットフォーム全体で広く利用されることを目指して開発が進められています。

GraphQLの実装

クライアント: GraphQLクライアントは、適切なドキュメントをGraphQL APIエンドポイントにPOSTするだけでクエリを実行できます。より高度な機能を持つクライアントとしては、Apollo ClientやRelayなどがあります。

サーバー: GraphQLサーバーは、様々な言語で利用可能です。Haskell、JavaScript、Perl、Python、Ruby、Java、C#、Scala、Go、Elixir、Erlang、PHP、R、Clojureなど、多くのプログラミング言語で実装されています。

GraphQLの利用例

GitHub API: GitHubは、第4世代のAPIとしてGraphQL API「GitHub GraphQL API v4」を提供しています。GitHubは、多様なAPI利用者に対応するために、GraphQLを採用しました。GraphQLを使用することで、クライアントは必要なデータ構造を自由に定義し、過不足のないデータのみを取得できます。これにより、柔軟性が向上し、より効率的なAPI利用が可能になります。

GraphQLの利点

効率的なデータ取得: クライアントが必要なデータのみを要求するため、過剰なデータ転送を削減できます。
柔軟性: クライアントは、自由にデータ構造を定義できるため、様々な要求に対応できます。
単一エンドポイント: GraphQLは、単一のエンドポイントで多様なデータ要求に対応できます。
型システム: 型システムにより、APIの整合性を保ち、エラーを早期に検出できます。

GraphQLの欠点

複雑さ: GraphQLは、REST APIと比較して複雑なクエリ言語を使用するため、学習コストが高い場合があります。
* シンプルなAPIには不向き: シンプルなAPIの場合、GraphQLの柔軟性や表現力が過剰となる可能性があります。

まとめ

GraphQLは、API開発における強力なツールです。その柔軟性と効率性により、多くの開発者に支持されています。REST APIからの移行を検討している場合は、GraphQLが最適な選択肢となる可能性があります。

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