Grey Skies

大貫妙子 『Grey Skies』：ソロの原点と才能の萌芽

『Grey Skies』は、大貫妙子が1976年9月25日に発表した初のソロアルバムです。シュガー・ベイブでの活動を経て、ソロアーティストとしての道を歩み始めた彼女の、記念すべき第一歩を示す作品と言えるでしょう。

背景と制作

シュガー・ベイブ解散後、大貫妙子はクラウン・レコードと契約し、ソロ活動を開始します。当時、彼女は「自信がなかった」と語っていますが、周囲の勧めで音楽活動を続けることを決意。後に『ロマンティーク』と『アヴァンチュール』をプロデュースする牧村憲一との出会いも、彼女にとって大きな支えとなりました。

レコーディングは、ヘッドアレンジという手法で、スタジオでアレンジャーたちと意見を交わしながら進められました。大貫は、初めてのソロアルバム制作に「ものすごく疲れた」と振り返っています。シュガー・ベイブ時代とは異なり、すべてのパートを自分で担当しなければならなかったため、大きなプレッシャーを感じたようです。しかし、同時に、自分の好きなアレンジャーたちと自由に制作できる喜びも感じていました。

特に、坂本龍一との出会いは、大貫にとって大きな転機となりました。当時、まだそれほど有名ではなかった坂本の才能にいち早く気づき、共同でアレンジを手がけました。坂本は、新しいシンセサイザーを積極的に取り入れ、大貫の楽曲に新たな色彩を加えました。大貫のクラシカルなメロディーを深く理解し、その魅力を最大限に引き出した坂本の才能は、その後の二人の音楽活動に大きな影響を与えました。

楽曲について

アルバムに収録された楽曲は、大貫妙子の作詞作曲によるものが中心です。彼女は常にメロディーを先に作り、その後で歌詞を付けるというスタイルを貫いています。レコーディングは、アレンジャーたちとの共同作業で、自由な雰囲気の中で行われました。このアルバムで出会ったアレンジャーたちとは、その後も長く交流が続いたそうです。

アルバムからのシングルカットはありませんでしたが、プロモーション用に「愛は幻」が制作されました。2022年には、レコードストアデイにて、新規ジャケットで一般流通仕様盤がリリースされています。

アートワークと再発

アルバムタイトル『Grey Skies』は、英語で「曇り空」を意味します。帯には印象的なキャッチコピーが記載されていました。

2007年には、大貫妙子監修の元、紙ジャケット仕様の限定盤が再発されました。この再発盤には、シュガー・ベイブ結成前に録音されたデモ音源や、アルバム未収録のシングル「明日から、ドラマ」がボーナストラックとして収録されています。2010年には、ブルースペックCDにて通常盤としても再発されました。

収録曲

SIDE A

1. 時の始まり
2. 約束
3. One's Love
4. 午后の休息
5. 愛は幻

SIDE B

1. Wander Lust
2. 街
3. いつでも そばに
4. When I Met The Grey Sky
5. Breakin' Blue

BONUS TRACKS (2007年再発盤)

1. 明日から、ドラマ
2. 約束 (Previously unissued demo)
3. 午后の休息 (Previously unissued demo)

まとめ

『Grey Skies』は、大貫妙子のソロキャリアの幕開けを飾る作品であり、彼女の才能の原点を知る上で欠かせないアルバムです。坂本龍一をはじめとする才能あるミュージシャンとの出会い、自由な雰囲気の中での制作、そして何よりも大貫自身の音楽に対する情熱が、このアルバムを特別なものにしています。彼女の音楽世界への扉を開く一枚として、ぜひ手に取ってみてください。

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