H指数

h指数（h-Index）とは

h指数、またはエイチしすう（h-Index）は、物理学者ジョージ・E・ハーシュによって提案された、研究者の業績を評価する指標です。この指標は、Web of Scienceデータベースの引用数を基にしています。h指数は、研究者が発表した論文の数と、それらの論文に対する被引用数を組み合わせることで、その研究者の研究への貢献度を示します。しかし、この指標は同じ分野内での比較に限るべきであり、分野間で比較することは不適切です。

h指数の背景

科学者の貢献を評価することは容易ではありません。研究の成果は多様で、質や重要性などさまざまな要素が絡むからです。そのため、研究の成果を数量化するための基準として、論文数が用いられることが一般的です。ただし、単に論文数が多いだけでは、研究の質を示すものにはなりません。そのため、被引用数が重視されるようになりました。しかし、被引用数にも限界があります。例えば、1編の論文が100回引用されるのと、100編の論文がそれぞれ1回しか引用されない場合、その評価は同じになってしまいます。このような問題を解決するために、h指数が考案されたのです。

h指数の定義と利点

h指数の定義は、特定の研究者が発表した論文の中で、被引用数がh以上である論文がh編以上存在する最大の数値です。具体的には、h指数が30の研究者は、被引用数が30以上の論文を少なくとも30編持っているが、被引用数が31以上の論文は31編未満であるということを意味します。これにより、論文の量と質を一つの指標で表すことが可能になります。この仕組みがh指数の大きな利点です。

h指数の計算例

以下はh指数の計算方法の具体例です：

• - 論文A（10回引用）、論文B（8回引用）、論文C（5回引用）、論文D（4回引用）、論文E（3回引用）の場合 → h指数=4
• - 論文A（25回引用）、論文B（8回引用）、論文C（5回引用）、論文D（3回引用）、論文E（3回引用）の場合 → h指数=3

これらの例からも明らかなように、h指数は論文数と被引用数をもとにしたバランスのとれた評価基準を提供します。

高いh指数を持つ研究者

ハーシュは1983年から2002年の間に最も多く引用された科学者を特定し、生命科学分野で高いh指数を持つ研究者たちを挙げています。以下はその一部です：

• - ソロモン・H・スナイダー（h=191）
• - デビッド・ボルティモア（h=160）
• - ロバート・C・ギャロ（h=154）
• - ピエール・シャンボン（h=153）
• - バート・フォーゲルシュタイン（h=151）

さらに、2005年に全米科学アカデミーに新たに会員に選ばれた生物学・生物医学分野の36名の研究者のh指数の中央値は57だったと報告されています。

しかし、h指数は分野によって異なるという指摘もあり、同じ基準を適用することには注意が必要です。

参考文献

1. Hirsch, J. E. (2005). An index to quantify an individual's scientific research output. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 102(46), 16569-16572.
2. Web of Science Citation Report：h指数を調べるための信頼できるソースです。
3. Scopus：著者別にh指数を調べることが可能です。

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