HARD-BOILED CITY

ロックバンド、ARBによって制作されたスタジオ・アルバム、『HARD-BOILED CITY』（ハードボイルド・シティ）は、彼らのキャリアにおいて通算15作目にあたる作品として、2001年6月13日に世に送り出されました。このアルバムは、常に時代と向き合い、骨太なメッセージを発信し続けてきた彼らの、2000年代初頭における重要なマイルストーンの一つと言えるでしょう。

楽曲構成とクレジット

本作『HARD-BOILED CITY』は、全11曲で構成されています。全ての楽曲の作詞は、バンドのフロントマンである石橋凌が担当しており、彼の紡ぎ出す言葉が、アルバム全体のテーマ性や世界観を深く形作っています。作曲は、ギタリストの内藤幸也が多くの楽曲を手がけていますが、ベーシストのEBIも2曲、そして石橋凌自身も1曲でそれぞれ作曲を担当しており、バンドメンバーそれぞれの音楽的個性が反映されています。

編曲については、多くの楽曲をバンド自身、ARBが手掛けていますが、収録曲の「17」に関しては、ARBに加え北岡徹也が共同で編曲に名を連ねています。この多様なソングライティング・クレジットは、当時のバンドのクリエイティブな状況を示唆していると言えるかもしれません。

収録曲

アルバムには以下の11曲が収められており、各楽曲の演奏時間も記されています。タイトル曲である「HARD-BOILED CITY」は、アルバムの世界観を象徴するような楽曲でしょう。

1. HARD-BOILED CITY (5:55)
2. MAY DAY (4:43)
3. 共犯者よ (3:03)
4. NEW RED SUN (5:15) - 作曲：EBI
5. LOVELESS TOWN (4:45)
6. DOORMAN'S BLUES (4:56)
7. リターン・マッチ (4:37)
8. WAVE of LOVE (3:18)
9. 威風堂々 (5:02) - 作曲：石橋凌
10. 17 (4:12) - 作曲：EBI, 編曲：ARB・北岡徹也
11. P.S.ご自愛を… (2:00)

アルバムの世界観

タイトルにある「HARD-BOILED CITY（ハードボイルド・シティ）」という言葉は、都市が持つ無機質さ、厳しさ、そしてその中に潜む人間ドラマや陰影を想起させます。石橋凌の作詞と、バンドによる力強い演奏が一体となり、聴き手に都会の風景やそこで生きる人々の葛藤、あるいは希望のようなものを感じさせる作品世界を構築しているのではないでしょうか。各楽曲のタイトルからも、「共犯者よ」「LOVELESS TOWN」「DOORMAN'S BLUES」「リターン・マッチ」といった、どこか物語性や情景描写を思わせる言葉が並んでおり、アルバム全体として一つのコンセプトを内包している可能性が窺えます。

制作体制

この作品のサウンドは、主にバンド自身であるARBによって編曲がなされています。これは、彼らが長年の活動を通じて培ってきたバンドサウンドへのこだわりを示すものでしょう。収録曲「17」の編曲には北岡徹也が加わっており、外部のクリエイターとの協業も行われていることが分かります。このような制作体制を経て、『HARD-BOILED CITY』はARBならではの力強く、そしてどこか哀愁を帯びたロックサウンドを確立しています。

まとめ

『HARD-BOILED CITY』は、2001年という時期におけるARBの音楽的探求と表現の一つの到達点を示すアルバムです。石橋凌の揺るぎない言葉と、メンバーそれぞれの才能が融合した楽曲群は、リスナーに強い印象を残すことでしょう。彼らの長いキャリアの中でも、この作品は独特の輝きを放つ一枚として記憶されています。

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