HB9CV

HB9CVアンテナとは

HB9CVアンテナは、スイスのアマチュア無線家ルドルフ・バームガートナー氏が開発したアンテナです。彼のコールサイン「HB9CV」が、そのままアンテナの名称となりました。

このアンテナは、位相差給電アンテナの一種で、その構造は比較的シンプルです。基本的な構成は、ダイポールアンテナと同じ形状の1/2波長エレメント2本を、1/9～1/8波長の間隔で平行に配置したものです。この2つのエレメントに逆位相で給電することで、特定の方向に指向性を集中させることができます。具体的には、一方のエレメントをわずかに短く、もう一方をわずかに長く調整します。

また、八木・宇田アンテナと同様に、導波器を追加することで利得を向上させることができます。

HB9CVアンテナの特徴

HB9CVアンテナには、以下のような特徴があります。

小型化が可能: エレメント間の間隔が1/5波長程度である八木・宇田アンテナに比べ、HB9CVアンテナはより小型に設計できます。
高利得: 2エレメントのHB9CVアンテナは、導波器、輻射器、反射器から構成される3エレメントの八木・宇田アンテナよりも高い利得を得ることができます。
動作原理の特殊性: HB9CVアンテナは、その動作原理が特殊であるため、共振点からのズレが生じると指向特性が著しく悪化します。
調整の難しさ: 微妙な調整が必要なため、コストが重視される業務無線ではあまり使用されません。しかし、使用周波数帯が限定され、アンテナの不具合が金銭的損失につながらないアマチュア無線の世界では、調整そのものを楽しむ愛好家も多く、熱狂的な支持を得ています。

HB9CVアンテナのバリエーション

HB9CVアンテナをベースにした、以下のバリエーションがあります。

ZLスペシャル

ZLスペシャルは、エレメントに折り返しダイポールアンテナを使用したタイプです。ニュージーランドのアマチュア無線家が考案したことから、同国のプリフィックス「ZL」が名称に用いられています。HB9CVアンテナよりも広帯域で使用できる点が特徴です。

スイスクワッド

スイスクワッドは、HB9CVクワッドとも呼ばれ、複数のHB9CVアンテナをスタックにして、上下のエレメント端を対に接続し、四角形にしたものです。

関連事項

八木・宇田アンテナ
アマチュア無線

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