Heavier Than Heaven

Heavier Than Heaven: カート・コバーン伝記

『Heavier Than Heaven』は、著者チャールズ・R・クロスによって執筆された、ロックバンド・ニルヴァーナのボーカリスト、カート・コバーンの詳細な伝記です。本書は2001年に発表され、カート・コバーンの生涯とその内面的な葛藤に焦点を当てています。この伝記は、カート・コバーンに関する資料としては非常に重要なものであり、数多くのインタビューや貴重な資料を元に制作されています。

取材の背景

クロスは、この本がカート・コバーンの伝記の決定版になることを目指して、400回以上のインタビューを行いました。その取材は、4年以上にわたって行われ、多岐にわたる関係者や近親者へのインタビューから構成されています。特にこのプロジェクトにおいて重要だったのは、カートの元妻コートニー・ラブから生前に書かれたカートの日記を閲覧し、使用することを許可されたことです。このように、著者はカート・コバーンの実生活に迫るための重要な資料にアクセスすることができました。

さらに、カートが残した数々の美術作品や楽器、洋服などが保管されている貸金庫にも足を運び、自由にそれらを確認できる特権を得ることができました。一方で、カートの母親や元バンドメイトのデイヴ・グロールには取材の協力を得ることができず、そこには一定の制約がありました。

本書の内容と特徴

本書は、カート・コバーンの生前の思考や感情を深く掘り下げています。特に彼の日記の内容を用いて、彼の発言や行動と照らし合わせることで、彼の人生の闇の部分にフォーカスを当てています。カートの内面的な葛藤や苦悩は読者に強い印象を与え、彼の人間性や実生活の物語が生き生きと描かれています。

また、クロスは本書を書き進める中で、ノンフィクションとしての要素も持たせようと試みました。しかし、自殺前後の経緯に関してノンフィクション小説的な要素を取り入れたため、「ノンフィクション」としては致命的な欠陥があるとの批判も呈されています。これは、著者の主観的な回想が強く反映されているためでもあります。

その後の著作

本書の出版後、クロスは『Cobain Unseen』という著作をさらに発表しました。この作品では、カート・コバーンのクリエイティブな側面により焦点を当て、彼のアーティストとしての側面を探求しています。こうした続編的作品により、カート・コバーンの多面的な人格がより明らかにされていくことになります。

書誌情報

本書『Heavier Than Heaven カート・コバーン・バイオグラフィー』は、ロッキングオンより2002年3月に出版され、ISBNは4860520033です。この業績は、カートのファンやロック音楽界において、彼の偉業を理解するための重要な一冊として位置づけられています。

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