HERO (プロレス)

HERO: バリアフリープロレス団体

HEROは、NPO法人バリアフリーエンターテイメントサポートが運営するプロレス団体であり、聴覚障害者と健常者の交流と手話の普及を目指しています。2010年に設立され、以降多様な取り組みを通じて、障害を持つ方たちがプロレスを楽しむ場を提供しています。

特徴と活動内容

HEROのイベントでは、聴覚障害者がより楽しめるように手話通訳が常に配置されています。観客は手話での解説を受けながら、試合を観戦できます。また、試合中は完全字幕付きのスクリーンが設置され、場面ごとの解説が視覚的に提供されます。これにより、聴覚障害者が理解しやすい環境が整えられています。

さらに、視覚障害者を考慮した体験コーナーも設けられています。ここでは、リングに上がった選手の身体に触れたり、リングの形状を確認したりすることができます。また、同じく視覚障害者向けに、試合実況のためのラジオを無料で貸し出し、リアルタイムでの解説を行っています。

会場は車椅子利用者にも配慮してバリアフリー設計がなされており、障害を持つ方々が安心して来場できる環境を整えています。全試合が終了した後には、観客全員が一体となり「1、2、3、HERO」という掛け声を上げ、指を天井に向けて掲げることで、会場全体に一体感をもたらしています。

歴史

HEROは、2010年2月20日に元新日本プロレスの練習生であるヤミキ（佐藤幹夫）とその息子佐藤剛由によって「DEAF JAPAN PRO-WRESTLING HERO」として新木場1stRINGで旗揚げ戦を行ったことから始まります。ヤミキ自身が聴覚障害を持っていたことから、聴覚障害者にプロレスの魅力を広める意図がありました。その後、聴覚に限らないバリアフリーを目指す方針を打ち出し、「DEAF JAPAN」の文言は外され、HEROとして活動しています。

2012年には、ヤミキの同期であるミスター・ポーゴがイベントに参戦し、また2016年にはヤミキを偲ぶ興行に大仁田厚が参加しました。これらのイベントは、コミュニティを活性化させ、さらなる交流の場を生み出しました。

タイトルと所属選手

HEROにはWBCタッグ王座が存在し、さまざまな選手が所属しています。現在の主要な選手には、友龍、ワイルド・ベアー、百太聾、海和択弥がいます。また、最高顧問には米内山明宏が名を連ね、団体を支えています。

過去に所属していた選手には矢神葵やブラック・アバロン、橋本真などがいて、彼らの存在は団体の歴史に多大な影響を与えています。惜しくも故人となったヤミキやワイルド・セブンも、HEROの礎を築いた大切な存在です。

大会一覧と今後

HEROは定期的に大会を開催しており、その内容は多くの観客に親しまれています。また、公式サイトやSNSを通じて最新情報が発信されており、多くのファンから支持を受け続けています。今後もHEROは、さらなるバリアフリー活動とエンターテイメントの提供を目指し、聴覚障害者を含むすべての人々に楽しさを届けていくことでしょう。

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