HFC

HFC（ハイブリッドファイバー同軸）とは

HFC（Hybrid Fiber-Coaxial）は、ケーブルテレビ（CATV）ネットワークにおける配線方式の一種であり、光ファイバーと同軸ケーブルを組み合わせたハイブリッドなシステムです。具体的には、CATV局のセンター局（ヘッドエンド）から光ファイバーケーブルで信号を伝送し、途中の光ノードで電気信号に変換した後、各家庭へは同軸ケーブルを用いて接続します。この方式は、FTTN（Fiber To The Node）や光ハイブリッドとも呼ばれます。

HFCの導入背景

HFCは、1990年代からアメリカ合衆国、カナダ、日本などで広く採用されています。特に日本では、ブロードバンドインターネット接続へのニーズの高まりに応えるために導入が進められました。しかし、近年では新規に開業するCATV局では、FTTH（Fiber To The Home）を採用するケースが増えており、HFCは主に既存の同軸ケーブル網の更新を目的として利用されることが多くなっています。

また、HFCを採用していたCATV局の中には、インターネットの更なる高速化やBS放送のパススルー送信を実現するため、FTTHへの切り替えを進めているところもあります。

HFCのネットワーク構成

光ファイバーネットワーク

HFCネットワークでは、マスターヘッドエンドから、場合によっては地域ヘッドエンドを経由し、近隣のハブに接続されます。その後、25～2,000軒程度の家庭をカバーする光ファイバーノードに接続されます。北米では、マスターヘッドエンドに衛星アンテナが接続され、ビデオ映像を受信します。また、IP集約ルーターが接続され、電話接続サービスも提供されることがあります。さらに、地域・エリアヘッドエンドでは、公共・教育・地方行政チャンネル（PEG）が追加されることがあります。

信号伝送

複数の番組やサービスは、それぞれRF変調されて混合され、一つの電気信号として広帯域光送信機に送られます。この送信機が電気信号を光信号に変換し、各ノードに送り出します。ヘッドエンドまたはハブから光ノードへは、光ファイバーが1対1型またはスター型トポロジーで接続され、一部ではリング型トポロジーも採用されています。

同軸ケーブルネットワーク

信号を配信する小さなセルごとに、ブロードバンド光レシーバーが光信号を電気信号に変換し、各家庭に同じ信号を分配します。一つのセルで25～2,000軒程度がカバーされ、一般的には300～500軒程度が標準です。同軸ケーブルは、信号の劣化を避けるために出来るだけ短くされます。FTTHの場合は、各家庭や建物ごとに光-電気コンバーター（V-ONU）が設置され、建物内でのみ同軸ケーブルが使用されます。

HFC導入の背景とメリット

同軸ケーブルの問題点

従来のCATVネットワークでは、同軸ケーブルが雷や道路工事などによるノイズを拾いやすく、特に上り方向の信号では「流合雑音」が信号品質の低下の大きな要因となっていました。また、同軸ケーブルは高周波帯での信号減衰が大きいため、伝送帯域の拡大が難しく、BS・CS放送等のチャンネル増加に対応するのが困難でした。

光ファイバーの利点

光ファイバーは、ケーブル内の信号が外部ノイズの影響を受けにくく、伝送帯域の拡大が容易であるというメリットがあります。しかし、CATV網を完全にFTTH化するには、莫大な設備投資が必要となり、各家庭への光ファイバーケーブルの引き込み技術も比較的難易度が高いという課題がありました。

HFCのメリット

HFCは、幹線を光ケーブル化することで流合雑音の問題を低減し、伝送帯域を拡大しつつ、ラストワンマイルは同軸ケーブル構成を維持することで、設備投資を抑制し、既存のネットワーク構成を維持することを可能にします。このように、HFCは光ファイバーと同軸ケーブルの良いところを組み合わせた効率的な配線方式と言えます。

脚注

関連項目

DOCSIS

外部リンク

光ハイブリッド・フォーラム

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