HL7

HL7（Health Level Seven）は、保健医療情報交換のための標準規格であり、同時にその規格を策定する団体の名称でもあります。この二つを区別するために、規格そのものを「HL7標準（HL7 Standard）」、策定団体を「HL7協会（HL7 Inc.）」と表記することが一般的です。

HL7の名称は、医療情報システム間のISO-OSI参照モデルの第7層（アプリケーション層）におけるメッセージトランザクションに由来します。これは、異なるシステム間で情報をやり取りするためのプロトコルが、OSIモデルの最上位層で機能していることを示しています。

現在、HL7標準にはVersion2シリーズとVersion3シリーズが併存しています。Version2は、長年にわたり広く利用されてきた実績のある規格ですが、Version3は、Version2の経験と知見を基に、モデリング技術を用いて体系的に構築された新しい規格です。

Version3の中核となるのはRIM（Reference Information Model）です。RIMは、医療情報の基本的な概念とその関係性を定義したモデルであり、Version3の様々な規格を構成する際の共通の基盤となっています。これにより、異なるシステム間での情報の解釈や整合性が高められ、より円滑な情報交換が可能になります。

HL7協会は、アメリカに本部を置き、30以上の国際支部を擁するグローバルな組織です。日本においても、1998年7月に7番目の国際支部として日本HL7協会が設立され、国内におけるHL7標準の普及と活用を推進しています。

HL7は、電子カルテをはじめとする医療情報システムの相互運用性を実現するための重要な基盤となっています。特に、異なるメーカーのシステムや、異なる医療機関の間で情報交換を行うためには、HL7のような標準規格の採用が不可欠です。

近年では、HL7は医用波形分野においても活用が検討されており、MFER（Medical waveform format encoding rule）との統合的な利用も試みられています。これにより、心電図などの波形データを含む、より高度な医療情報の交換が可能になることが期待されています。

HL7の活動は、医療情報の相互運用性を高め、医療現場における情報共有を円滑にすることに大きく貢献しています。今後も、医療技術の進歩とともに、HL7標準は進化を続け、医療情報の連携に不可欠な役割を果たしていくと考えられます。

関連情報として、HL7に関する詳しい情報については、以下の外部リンクを参照ください。

• - HL7協会本部サイト
• - 日本HL7協会サイト
• - HL7 Introduction
• - HL7 Watch: Weblog

これらの情報を通じて、HL7の理解を深めることができるでしょう。

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