HTBまめほん

HTBまめほんの歴史と魅力

HTBまめほんは、昭和45年（1970年）から平成13年（2001年）にかけて北海道テレビ放送が不定期に発行した豆本シリーズです。このシリーズは、もともとスポンサーや官公庁向けのPR資料として企画された「HTBニュース」に続く一般向けの広報資料として誕生しました。

1969年頃、この新たな広報パンフレットを制作する計画が立案されました。当初は、年に4回発行されることを想定し、1回あたり30万円の予算が設定され、その内容は番組の裏話やスタッフのエピソードを紹介するというものでした。しかし、タレント写真の使用料が予想以上に高騰したことや、裏話の収集が難航したため、このPR誌の構想は幻になりました。

その代替案として、豆本を制作することが決定されました。装丁やサイズについては、社内で使用していたタウン誌「月刊さっぽろ」を正方形に切り揃え、手のひらサイズの9.5センチメートル角に変更しました。これにより、60ページ以上から成る豆本が完成しました。文字数は基本的に25字16行、合計で400文字とし、読みやすさを重視した構成がなされました。

初めて発行された作品は1970年2月25日で、当時のHTB本社がある平岸を紹介する内容となっていました。北海道立美術館の館長である工藤欣也氏が執筆した「ひらぎし物語」は、2000部が発行され、工藤氏の知人が経営する札幌市内の書店に並べられたところ、大変好評を得ました。この成功を受けて、シリーズは続刊の発行へとつながりました。このようにして、HTBまめほんは北海道の自然、歴史、文化といったテーマを持つ単作を基に、年4回の発行を目指しました。それぞれの分野で活躍する専門家たちによって、内容が読みやすく工夫されて執筆されているため、一般の読者にも親しみやすいものとなっています。

HTBまめほんシリーズのユニークな点は、各豆本が特定のテーマに焦点を当てつつ、北海道の豊かな文化や素晴らしい自然環境を短くまとめている点です。また、豆本というサイズや形状から、手軽に持ち運びができ、ふとした時に読むことができるため、多くの人々にとって親しみやすい存在となっていました。

この盛況の背後には、関わった編集者や著者の努力があったことは言うまでもありません。HTBまめほんは、ただの広報資料ではなく、北海道の文化と歴史の真髄を掘り下げ、地域の魅力を伝える重要な役割を果たしました。営業時間の合間やちょっとした空き時間に楽しむことができるこの豆本は、読者にとって新たな発見の場を提供しました。さらに、このシリーズは北海道のローカルメディアの活動を広く知ってもらう契機ともなり、地域密着型の情報発信の重要性を再認識させるものとなりました。

その後、HTBまめほんは北海道内外で愛され続け、北海道の人々や訪れる観光客にとって、魅力的な情報源となっています。時代が変わる中でも、地域の魅力をコンパクトにまとめたHTBまめほんの存在は、今なお多くの人々に親しまれています。

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