HURRY UP MODE

BUCK-TICKの1stアルバム『HURRY UP MODE』

『HURRY UP MODE』は、日本のロックバンドBUCK-TICKにとって初のオリジナルアルバムであり、1987年4月1日に太陽レコードよりリリースされました。このアルバムは、今井寿がほぼ全曲の作詞と作曲を手掛け、一部のトラックでは櫻井敦司が関与しています。群馬県の藤岡高等学校の生徒たちによって結成されたBUCK-TICKは、この作品を通じて独自の音楽スタイルを確立しました。プロデュースは、サワキカズヲが担当しました。

アルバム制作の背景

BUCK-TICKのメンバーは、レコーディングを行う前に自己資金でデモテープを作成し、最初の4曲を録音しました。その後、サワキのプロデュースのもと約2週間、合宿のような厳しい環境で本格的に制作が進められました。この作業は過酷さを伴い、メンバーは寝る時間も惜しんでレコーディングに挑みました。

同日、豊島公会堂で開催されたイベントライブ「BUCK-TICK現象」も大きな成功を収めました。今年800人以上の観客を動員し、レコード会社からの注目を集める結果となりました。

音楽的コンセプトとスタイル

このアルバムは、BUCK-TICKの音楽スタイルを確立するための重要なステップでした。シングル『TO-SEARCH』はアルバムリリース前に発表されたものの、本作には収録されていません。また、インディーズ版には「殺シノ調ベ」というサブタイトルが存在し、後にリミックスアルバム『HURRY UP MODE (1990MIX)』がリリースされた際には、このサブタイトルは省かれました。

楽曲の中には、今井の独特なメロディと櫻井の歌詞が融合しており、『HURRY UP MODE』のタイトルチューンでは、アフロ・ビートの要素が取り入れられ、高揚感あふれるトラックに仕上がっています。

リリースとその後の影響

アルバムはLPとCDの2形態でリリースされ、CDバージョンには追加曲が収録されています。また、この作品は日本のインディーズレーベルで初めてCDでリリースされたアルバムとなりました。メンバーは当時、CDプレーヤーを持っていなかったため、CD盤を聴くことができませんでしたが、その後のリリースでの反響からBUCK-TICKの人気も大きく高まりました。

1990年にはリミックス版が発表されるなど、今なお多くのファンに愛され続けている作品です。その影響は現在の音楽シーンにも色濃く残っています。

プロモーション活動

アルバムリリース前後のプロモーションでもBUCK-TICKは活発に活動し、レコード店を訪れ販売を促進しました。特に、サワキによるステッカー作戦は功を奏し、注目を集める手助けとなりました。ライブ当日は思わぬ高動員を見せ、彼らのパフォーマンスは観客とレコード会社関係者の心を掴むことに成功しました。

ツアー活動

アルバムに続き、5月には「HURRY UP MODEツアー」が開催されました。約10都市での公演を経て、翌年には全国ツアーも展開されるなど、BUCK-TICKは急速にその名を広めていきました。これらの経験は、彼らの音楽キャリアを大きく前進させる基盤となっていったのです。

『HURRY UP MODE』は、音楽的な成長と革新の象徴であり、BUCK-TICKのアイデンティティを形作る重要な作品として、今もなお記憶され続けています。

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