Haiku (オペレーティングシステム)

Haikuとは

Haikuは、オープンソースで開発されているデスクトップオペレーティングシステムです。かつて存在したBeOSの再現を目指しており、その使いやすさや高速性を現代の環境で実現することを目標としています。以前はOpenBeOSというプロジェクト名で開発されていましたが、現在はHaikuという名称で知られています。

Haikuの名称は、日本の伝統的な詩形である俳句に由来しており、その簡潔さと美しさがOSの設計思想と重なる部分があると考えられています。

Haikuの目的

Haikuは、以下の特性を持つデスクトップOSを目指しています。

面倒な管理を必要としない: シンプルで直感的な操作性を追求し、ユーザーがOSの管理に煩わされることなく、快適に利用できることを目指しています。
使いやすい: ユーザーフレンドリーなインターフェースと分かりやすい操作性で、初心者でも簡単に利用できることを目指しています。
フリー＆オープン: ソースコードが公開されており、誰でも自由に利用、修正、配布することができます。
古いハードウェアでも高速: 比較的古いハードウェアでも快適に動作するように、軽量かつ効率的な設計がなされています。
複雑な用途にも適用できるぐらいの高性能: 高度なマルチスレッド処理や高速なファイルシステムにより、複雑な作業にも対応できるパフォーマンスを実現しています。
使っていて楽しい: 快適な操作感や美しいインターフェースにより、OSを利用すること自体が楽しくなるような体験を提供することを目指しています。

システムの特徴

Haikuは、以下の特徴を持っています。

POSIXと高い互換性: POSIX規格に準拠しており、Linuxなどの他のUNIX系OSとの互換性が高いです。
オブジェクト指向APIを適用: BeOSのAPIとの互換性を保ちながら、オブジェクト指向プログラミングによる柔軟な開発を可能にしています。
高度なマルチスレッド・マルチタスク化による高性能: 複数の処理を同時に実行するマルチスレッド・マルチタスク機能を活用し、高いパフォーマンスを実現しています。
データベースライクな OpenBFS ファイルシステムによる高速検索: 独自のファイルシステムであるOpenBFSを採用しており、ファイル検索を高速に行うことができます。
BeOSとのソース＆バイナリ互換性（Haiku R1 32 bitのみ）: BeOSのアプリケーションを一部互換性を持って実行できます。

システム要件

Haikuは、以下のシステム要件を満たす必要があります。

プロセッサ: Pentium Ⅱ 400MHz相当、AMD AthlonのCPU以上（最大64コア）
物理メモリ: 最小で256MB以上、Haikuをソースからコンパイルする場合は1GB以上を推奨
モニタ: 800x600以上の解像度
HDD 空き容量: 3GB以上

主なマイルストーン

Haikuの開発は、以下のマイルストーンを経て現在に至っています。

2001年8月: OpenBeOSプロジェクト発足
2004年6月: 第1回「WalterCon 2004」開催、新プロジェクト名「Haiku」が発表される
2004年10月: CannaIM for BeOSがHaikuに寄付される
2005年7月: 日本語フォント小夏を標準フォントとして採用
2005年8月: 「WalterCon 2005」開催
2006年10月: 「WalterCon 2006」開催
2007年2月: ロサンゼルスにて「SCaLE 5x」(Southern California Linux Expo)オープンソース展に出展
2007年2月: Google本社で「Haiku Tech Talk」を通してHaikuを披露
2007年3月: Google社が主権するGoogle Summer of CodeにMentor Organizationとして選ばれ、8人の学生をスポンサー
2007年11月: 関西オープンソース2007に出展
2008年2月: ロサンゼルスにて「SCaLE 6x」オープンソース展に出展
2009年9月14日: 初公式リリース Haiku R1/Alpha 1 が公開
2010年5月09日: 公式リリース Haiku R1/Alpha 2 が公開
2011年6月18日: 公式リリース Haiku R1/Alpha 3 が公開
2012年11月12日: 公式リリース Haiku R1/Alpha 4 が公開
2012年11月14日: 公式リリース Haiku R1/Alpha 4.1 が公開
2018年9月28日: 公式リリース Haiku R1/Beta 1 が公開
2020年6月9日: 公式リリース Haiku R1/Beta 2 が公開
2021年7月26日: 公式リリース Haiku R1/Beta 3 が公開
2022年12月23日: 公式リリース Haiku R1/Beta 4 が公開
2024年9月13日: 公式リリース Haiku R1/Beta 5 が公開

開発状況

Haikuは現在も開発が続けられており、日々進化を続けています。ソースコードの変更履歴は、Haiku CIAでリアルタイムに確認できます。

関連情報

BeOS: HaikuのベースとなったOSであり、HaikuはBeOSの思想を受け継いでいます。
NewOS: Haikuのカーネルとして採用されているOSです。
WebPositive: Haikuのデフォルトウェブブラウザです。

外部リンク

Haiku 公式ウェブサイト
Haiku 最新バージョンのダウンロード
Haiku テスト・開発用ナイトリービルドのダウンロード
Haiku画面スライドショー
Haiku Movies
HaikuソースのSVNリポジトリ
Haiku公式ロゴの画像データファイル

コミュニティ

#haiku接続: 英語のIRCチャンネル
#haiku-jp接続: 日本語のIRCチャンネル（試験運用）

開発者向け資料

Coding Guidelines − Haikuに適用されるOpenTrackerのコーディングガイドライン
Practical File System Design with the Be File System (PDF) − Dominic GiampaoloによるBFSファイルシステムに関する書籍
The BeBook（英語版)

参考文献

「Be デベロッパーズガイド Vol.1 The official documentation for the BeOS」オライリー・ジャパン
「Be デベロッパーズガイド Vol.2 The official documentation for the BeOS」オライリー・ジャパン
「BeOS:ファイルシステム 実践ファイルシステム構築」オーム社
「BeOS:UNIXアプリケーションの組込み」オーム社
「BeOSバイブル〈Volume1〉」 ソフトバンクパブリッシング
「BeOSバイブル〈Volume2〉」 ソフトバンクパブリッシング
「BeOSプログラミング入門」プレンティスホール出版

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