Hi-NRG

Hi-NRGとは

Hi-NRG（ハイエナジー）は、1980年代半ばに誕生したダンス・ミュージックのジャンルで、特にディスコやクラブシーンで高い人気を誇っていました。電子楽器を積極的に取り入れたこのスタイルは、ユーロ・ディスコから発展したものとされています。音楽的には、従来のディスコ音楽を土台にしながら、エレクトロニックなサウンドが特徴的です。

歴史的背景

近代的なダンス・ミュージックはディスコから発展しており、特に1970年代の音楽シーンにおいて電子楽器の存在が広まりつつありました。その流れの中で、Hi-NRGは最初に登場した電子ダンス・ミュージックの一環として位置づけられています。この音楽スタイルは、当時高価だったシンセサイザーを所有する裕福な音楽家による実験から始まりました。

Hi-NRGの特徴的なサウンドは、1975年に発表されたドナ・サマーの「I Feel Love」に強く影響されています。この楽曲は全ての楽器を電子楽器に置き換えたことで、当時の音楽シーンに革新をもたらしました。ブライアン・イーノもこの楽曲の重要性を認識し、これがクラブ・ミュージックの未来を変えるだろうと述べていました。

1979年頃、従来のディスコが退屈される中で、ポストディスコという新たなトレンドが生まれ、Hi-NRGが登場する契機となりました。

名称の由来

「Hi-NRG」という名称には複数の説がありますが、一因として1984年にイギリスの音楽週刊誌『レコードミラー』がゲイ・ディスコ・ミュージック・チャートの名称を「BOYS TOWN DISCO」から「Hi-NRG DISCO」に変更したことが挙げられます。また、エヴリン・トーマスの曲「ハイエナジー」に因んでいるとも言われています。この曲は1984年に全米チャートで1位を獲得し、Hi-NRGの人気を一層確立しました。

特徴とスタイル

Hi-NRGではシンセベースのオクターブ奏法が用いられることが多く、低音と高音が交互に響き合うスタイルが特徴です。エネルギッシュなシンセサイザー音とドラムマシンによるクラップ音が見られ、リズム感はダンスにぴったりです。1982年にはサンフランシスコのナイトクラブでDJパトリック・カウリーによってHi-NRGの人気が高まりました。

代表的なミュージシャンにはシルヴェスターやクラウディア・バリー、ウェザー・ガールズなどがいます。彼らの楽曲はディスコ・チャートで大ヒットを記録しました。

Hi-NRGの影響

その後、Hi-NRGは主にハウス・ミュージックに取って代わられましたが、アンダーグラウンド・シーンでの影響力は残り続けました。特に1990年代にはクリスティン・Wやアビゲイルといったアーティストが登場し、Hi-NRGを現代のクラブ/ダンスミュージックとして再認識させました。そのスタイルは当時の流行を取り入れているものの、基本的な骨格は変わっていません。

音楽シーンにおける位置付け

Hi-NRGは以後、イタロ・ディスコやディスコフォックスなど数々のサブジャンルを生む土壌となりますが、常にそのルーツとしてのディスコの要素を保ち続けています。80年代に登場した多くの楽曲やアーティストの影響を受け、現代にもそのエッセンスは色濃く残っています。

このように、Hi-NRGは1970年代から1980年代にかけての電子音楽の発展に大きく寄与し、現在のダンス・ミュージックにおいてもその影響力を持つ重要なジャンルとして位置付けられています。

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