HiZ-GUNDAM

HiZ-GUNDAMについて

HiZ-GUNDAM（High-z Gamma-ray bursts for Unraveling the Dark Ages Mission）は、宇宙で発生する最も大規模な爆発現象であるガンマ線バースト（GRB）を活用し、初期宇宙の探査を目的とするJAXAのミッションです。これは小型科学衛星の名前でもあり、宇宙航空研究開発機構（JAXA）宇宙科学研究所（ISAS）によって推進されています。

ミッションの概要

HiZ-GUNDAMは、搭載された広範囲X線モニターを用いてガンマ線バーストをリアルタイムで検出します。GRBを発見すると、衛星は自動的に対象天体の方向に姿勢を変更し、約300秒後に可視光と近赤外線の望遠鏡を用いて残光やキロノヴァの観測を始めます。検出から1時間以内には、測光観測による天体の位置、測光赤方偏移、明るさの情報を研究者に報告し、さらに1時間半以内には地上の大型望遠鏡による詳細な分光観測を実施できます。

このアイデアは2009年頃より検討されており、当初は複数の人工衛星でのコンステレーションの形成が考えられていました。2012年に提案された「X線モニターと可視光・近赤外線望遠鏡を搭載した小型衛星」という形が正式に承認され、2018年には公募型小型衛星の候補として選定されました。現在、HiZ-GUNDAMは2029年頃の打ち上げを目指し、計画が進行中です。

科学的目的

初期宇宙探査

HiZ-GUNDAMは、赤方偏移(z)が7を超える初期宇宙の探査を特に重要視しています。この時期の宇宙では初代星や宇宙の再電離、重元素の合成、初めてのブラックホールの誕生など、未解明の課題が多く存在します。特にGRBは、種族IIIと呼ばれる初代星からの直接的な放射を観測する手段として有効です。GRBが発見され次第、迅速に近赤外線での測光観測を行い、高赤方偏移のGRBを特定し、残光が明るい時期に詳細な分光観測を行うことで、初期宇宙の物理的状態を解明しようとしています。

極限時空環境の理解

さらに、2017年に観測された重力波GW170817では、ガンマ線バーストの観測後にキロノヴァが発見されました。このように、重力波と連携して観測を行うことにより、中性子星の合体による極限の物理現象が解明されることが期待されています。HiZ-GUNDAMは、X線突発天体を検出してから104秒以内に可視光から近赤外線での観測を行い、相対論的ジェットや「コクーン」と呼ばれる繭状構造の存在を確認することを目指しています。

搭載機器

HiZ-GUNDAMには特に優れた観測機器が搭載されています。

広範囲X線モニター

ガンマ線バーストの検出に用いられるX線検出器は、1.2ステラジアンという広い視野を持ち、感度はNASAの衛星に比べて1.5から2桁高い性能を誇ります。

可視光・近赤外線望遠鏡

口径30cmのグレゴリー式望遠鏡により、可視光領域から近赤外線領域までの4バンド（0.5 - 0.9μm、0.9 - 1.5μm、1.5 - 2.0μm、2.0 - 2.5μm）を同時に測定可能です。これにより、赤方偏移z<12（約4億年前の宇宙相当）までの天体の観測が可能となります。

HI-ZGUNDAMのプロジェクトは、初期宇宙に関する知識を深め、多くの科学的知見を世界にもたらすことを目指しています。

もう一度検索