Hyperledger

Hyperledgerは、Linux Foundationが2015年12月に立ち上げたオープンソースのブロックチェーン・プラットフォームです。金融、サプライチェーン、テクノロジーなど、多様な業界のグローバルなビジネス取引を支えることを目指し、パフォーマンスと信頼性の向上に重点を置いて開発されています。

その特徴は、モジュール型のフレームワークを採用している点にあります。異なるコンセンサスモデルやストレージモデルを持つ複数のブロックチェーン、アイデンティティ管理サービス、アクセス制御機能、スマートコントラクトなどを個別に組み合わせることができ、多様なユースケースに対応できます。これは、オープンなプロトコルと標準の開発を促進する上で大きな利点となります。

Hyperledgerプロジェクトの開始は2015年12月ですが、本格的な活動は2016年から活発化しました。2016年2月には最初の創設メンバーが発表され、その後もメンバー企業が続々と参加。同年3月にはJPモルガンの経済顧問を務めたブライス・マスターズ氏がプロジェクトの議長に就任しました。同年4月には、日本取引所グループが野村総合研究所および日本IBMと共同で、Hyperledgerのフレームワークを用いたブロックチェーン技術の実証実験を開始しました。この実験は、証券などの資産の移転記録をブロックチェーン上に記録し、従来の一元管理システムに代わる可能性を探るものでした。

Hyperledgerには、世界各国から幅広い企業が参画しています。初期メンバーには、ブロックチェーンに特化した企業（Blockchain、ConsenSys、Digital Asset、R3など）、大手テクノロジー企業（IBM、Intel、富士通、NEC、NTTデータなど）、そして金融機関（JPモルガン・チェース、ABN AMRO、ANZ銀行など）が含まれており、多様な専門知識とリソースを結集しています。これらのメンバーは、技術開発、標準化、エコシステムの構築などに貢献しています。

Hyperledgerは単一のプラットフォームではなく、複数のサブプラットフォームから構成されています。それぞれのサブプラットフォームは、異なる特性と機能を持ち、特定の用途に最適化されています。代表的なサブプラットフォームとして以下のものがあります。

Hyperledger Fabric: 許可型ブロックチェーンで、高い柔軟性と拡張性を備えています。企業向けシステムに最適です。
Hyperledger Sawtooth: 様々なコンセンサスアルゴリズムに対応できる汎用性の高いプラットフォームです。実験的なアプリケーション開発などに適しています。
Hyperledger Indy: 自己主権型アイデンティティ（SSI）のためのフレームワークです。個人情報管理やデジタルIDの発行などに利用できます。
Hyperledger Iroha: シンプルで使いやすいAPIを提供するブロックチェーンです。モバイルアプリやIoTデバイスへの実装に適しています。
* Hyperledger Grid: 分散型アプリケーションの開発・実行を支援するフレームワークです。

これらのサブプラットフォームは、それぞれ独立して開発・管理されていますが、共通のアーキテクチャや設計思想に基づいており、互いに連携して動作することも可能です。

Hyperledgerは、オープンソースのブロックチェーン技術を進化させ、様々な業界における分散型台帳技術の導入を促進する重要な役割を担っています。そのモジュール性、柔軟性、そして幅広いコミュニティのサポートにより、今後も多くのイノベーションが期待されます。今後も、分散型台帳技術の進化に大きな影響を与えていくでしょう。

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