IC通信

iC通信：FOMA端末間の簡単データ転送機能

2006年、NTTドコモは第三世代携帯電話（FOMA）サービスにおいて、Felica搭載携帯電話間でデータ通信を可能にする革新的な機能、iC通信を発表しました。赤外線通信と異なり、携帯電話同士をかざすだけで、様々なデータの送受信をスムーズに行えるのが大きな特徴です。

iC通信でやり取りできるデータ

iC通信では、連絡先情報、メール、スケジュール、メモといった基本的なデータに加え、写真や動画、PDFファイルといった様々な種類のデータのやり取りが可能です。さらに、独自フォーマットのデータである「トルカ」の送受信にも対応しており、幅広い用途に対応できる機能となっています。

赤外線通信との違い

従来の携帯電話間のデータ通信では、赤外線通信が一般的でした。赤外線通信では、データ受信側が受信操作を行う必要がありましたが、iC通信では、携帯電話同士をかざすだけでデータの送受信が完了します。この操作性の簡便さが、iC通信の大きな利点と言えるでしょう。

ICカード認証との違い

似た名称に「ICカード認証」がありますが、これはFelica対応ICカードを用いて携帯電話のロックを解除する機能であり、iC通信とは全く異なるものです。混同しないよう注意が必要です。

対応機種

iC通信は、全てのFelica搭載機種が対応しているわけではありません。利用可能な機種は、NTTドコモが公式に発表した機種に限られます。具体的には、ドコモスマートフォン、docomo STYLE series、docomo PRIME series、docomo SMART series、そして90xシリーズ、70xシリーズの一部機種などです。特に70xシリーズでは、Felica搭載の703i以降の機種のみが対応しています。

また、公式には対応していませんが、auやソフトバンクのFelica搭載携帯電話の一部機種との相互利用が可能なケースも確認されています。これは、それぞれの携帯電話が採用しているFelicaシステムの互換性によるものと考えられます。ただし、この相互利用は公式にサポートされているものではないため、利用にあたっては注意が必要です。

iC通信の歴史と登場

iC通信は、2006年10月12日にNTTドコモが903iシリーズの発表と同時に「ライフキット」の一部として発表されました。その後、様々なFelica搭載機種に搭載され、携帯電話間のデータ共有をより便利にする役割を果たしてきました。

まとめ

iC通信は、Felica技術を活用した手軽で便利なデータ通信機能です。対応機種であれば、複雑な操作なしに、様々なデータの送受信が可能です。ただし、対応機種は限定的であること、そして他社機種との相互利用は非公式であることに注意が必要です。 今後、NFCなどの新しい近距離無線通信技術の普及により、iC通信の利用は減少傾向にあると考えられますが、当時としては画期的な技術でした。

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