ISDB:日本のデジタル放送規格とその国際展開
ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)は、日本が中心となって開発された
デジタル放送の規格です。地上波放送(ISDB-T)、
衛星放送(ISDB-S)、音声放送(ISDB-TSB)、
ケーブル[[テレビ]]放送(ISDB-C)など、様々な放送形態に対応しています。特に、国際的な展開においては、ISDB-T Internationalとして知られ、南米諸国を中心に普及しています。
ISDBの主要方式
ISDB-Tは、日本の地上デジタル
テレビ放送で使用されている方式です。UHF帯の
周波数を使用し、OFDM(直交
周波数分割多重)方式により複数のチャンネルを同時に送信します。最大13セグメントに分割された
周波数帯域は、
ハイビジョン放送や、携帯電話向け
ワンセグ放送などに利用されます。
映像符号化方式: MPEG-2 Video、MPEG-4 AVC
音声符号化方式: MPEG-2
AAC、MPEG-2 BC、MPEG-4 ALS
変調方式: 64QAM、16QAM、QPSK、DQPSK
特徴:
ワンセグ放送、柔軟な帯域分割、複数のサービス同時送信
ISDB-Sは、日本のBS
デジタル放送、110度CS
デジタル放送で使用される方式です。TDM(時分割多重)方式を採用し、複数の番組を1つの
トランスポンダで送信します。
伝送路符号化方式: シングルキャリア、TDM
変調方式: TC8PSK、QPSK、BPSK
特徴: BS/CS放送、高画質放送、双方向通信機能
ISDB-S3は、4K/8K放送に対応した次世代の衛星デジタル放送方式です。HEVC(H.265)による高効率な映像圧縮や、HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応しています。
変調方式: π/2シフトBPSK、QPSK、8PSK、16APSK、32APSK
映像圧縮方式: HEVC
特徴: 4K/8K放送、HDR対応、高音質・多チャンネル音声
ISDB-TSBは、
地上デジタル音声放送(
ラジオ)で使用される方式です。ISDB-Tの技術を応用しており、1セグメントまたは3セグメントを使用して音声信号を送信します。現在、i-dioなどのサービスで利用されています。
音声圧縮方式: MPEG-2 AAC
特徴: 移動体通信に適した変調方式、省電力化
ISDB-Cは、デジタル
ケーブル[[テレビ]]放送で使用される方式です。パススルー方式とトランスモジュレーション方式の2種類があり、
ケーブル[[テレビ]]事業者のニーズに合わせて選択できます。
ISDB-Tmm(モバイルマルチメディア放送)
ISDB-Tmmは、モバイルマルチメディア放送(旧
NOTTV)で使用されていた方式です。ISDB-Tをベースにプッシュキャスト機能を追加し、動的にセグメント配分を変更することで、帯域を効率的に活用していました。現在はサービスを終了しています。
ISDB-T International
ISDB-T Internationalは、ISDB-Tをベースに国際標準化された規格です。日本の
著作権保護システムを省いた点が特徴で、南米諸国を中心に広く採用されています。
ブラジルではSBTVD(Sistema Brasileiro de Televisão Digital)と呼ばれ、積極的にデジタル化が進められています。
ISDB-TおよびISDB-Sでは、
B-CASカードを用いたコピーワンス方式が採用されています。これにより、番組の不正コピーを防いでいます。しかし、コピーワンス方式はユーザーから批判があり、
ダビング10などの緩和策も導入されています。
まとめ
ISDBは、多様な放送形態に対応できる柔軟性と、国際標準規格としての高い汎用性を備えています。今後も、技術革新や国際的な展開を通じて、
デジタル放送の世界に貢献していくことが期待されます。