ISO 2

ISO 2は、繊維製品の製造過程における重要な特性である「ねじれ」の向きを、国際的に統一された方法で表示するための規格です。具体的には、糸、スライバー、始紡、粗紡といった、繊維製品の製造過程における様々な段階の製品に対して、ねじれの向きを明確に示すことを目的としています。

この規格では、ねじれの向きを表現するために、大文字の「S」と「Z」という2つの記号を使用します。

S撚り（S-twist）: 糸を垂直に立てて見たときに、ねじれが左上から右下に向かう場合を指します。これは、アルファベットのSの中央部分の傾きと同じ方向にねじれているため、「S撚り」と覚えられます。S撚りの糸は、多くの場合、右巻きのねじれを持つと表現されます。
Z撚り（Z-twist）: 糸を垂直に立てて見たときに、ねじれが右上から左下に向かう場合を指します。このねじれの方向は、アルファベットのZの中央部分の傾きと一致するため、「Z撚り」と呼ばれます。Z撚りの糸は、左巻きのねじれを持つと表現されます。

これらの記号は、糸の製造業者や繊維製品の購入者が、糸のねじれの種類を正確に把握するために不可欠です。これにより、異なる糸のねじれによる製品の性能の違いを理解し、適切な素材を選択することが可能になります。例えば、織物や編み物では、糸のねじれの向きによって生地の風合いや強度、耐久性が大きく左右されるため、この規格は非常に重要です。

ISO 2の規格は、繊維産業における品質管理の基礎をなすものです。製造業者は、この規格に従って製品のねじれを正確に表示することで、製品の信頼性を高め、国際的な取引を円滑に進めることができます。また、購入者は、この規格を理解することで、製品の特性を正確に判断し、自身のニーズに合った製品を選ぶことができるようになります。さらに、この規格は、繊維製品の製造過程におけるコミュニケーションを円滑にし、国際的なサプライチェーン全体での品質管理を容易にする役割も担っています。

関連用語として「右巻き」と「左巻き」がありますが、これらはねじれの方向をより一般的に表現したものです。S撚りは、多くの場合「右巻き」と、Z撚りは「左巻き」と表現されますが、厳密には、ISO 2で定義されたSとZの記号を用いることが、より正確な表現となります。

繊維製品の国際的な品質規格は、ISO 2のように、製品の特性を明確に定義し、国際的な取引を円滑にする上で非常に重要な役割を果たしています。これらの規格は、製品の品質を保証するだけでなく、消費者と製造業者の間の信頼関係を構築する上でも、欠かせない存在となっています。

詳しい情報は、以下の外部リンクから参照できます。

ISO 2:1973 Textiles — Designation of the direction of twist in yarns and related products

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