ISO 22324

ISO 22324は、社会安全に関する緊急事態管理のためのガイドラインとして、カラーコードを用いた警報システムにおける危険度の表現方法を規定する国際標準規格です。この規格は、公衆への情報伝達において、緊急度や危険度を色で示すことで、迅速かつ正確な状況把握を支援することを目的としています。

この規格の背景には、世界中で様々なカラーコード体系が用いられている現状があります。しかし、これらの体系は必ずしも統一されておらず、混乱を招く可能性がありました。ISO 22324は、これらの相違を解消し、より普遍的で分かりやすい警報システムを構築するための取り組みとして策定されました。現行の規格であるISO 22324:2015は、ISO/TC 223によって策定された第1次規格です。

危険度を示すカラーコード

ISO 22324では、危険度を3つの主要な色で表現することを推奨しています。それぞれの色と、それに対応する行動指針は以下の通りです。



もし4段階以上の危険度レベルが必要な場合は、赤から緑にかけてのスペクトル色を段階的に使用することが推奨されています。ただし、隣り合う色が判別しにくくなり、混乱を招くのを避けるため、レベル数は最大7つに留めるべきとされています。

カラーコード体系を運用する際には、色覚異常など、色の識別能力が人によって異なることに留意する必要があります。そのため、色情報に加えて、以下の様な補足情報を併記することが特に推奨されています。

意味を示すテキスト：色の名称（例: 赤、黄、緑）、数値（例: 危険度1、2、3）、色を象徴する記号や形、大きさなど
音声による色の読み上げ：例えば「レッドアラート」という音声での情報提供
* 位置による参考情報：危険度の順に色を並べるなど、視覚的な順序に基づいた情報提供

補助的な情報を示すカラーコード

ISO 22324では、補助的な情報を伝えるためのカラーコードも定義されています。




黒と紫は、赤と同様に非常に深刻な危険を示す特殊なケースであるため、テキストや音声など、他の情報伝達手段と組み合わせることが不可欠です。例えば、黒を赤、黄、緑と組み合わせて使用することで、4段階の危険度を示すことができます。この組み合わせは、トリアージタグなど、世界中で広く使用されている配色です。

青や灰色は、危険度を示す色系列とは異なる情報を伝えるために使用することを推奨します。これらの色は、注意喚起、情報提供、あるいはその他の関連情報を伝えるために活用できます。

色指定の推奨

付属書B（参考）には、上記のカラーコードに対応する具体的な色彩選定に関する推奨事項が記載されています。それぞれのカラーコードに対して、飽和系列と非飽和系列の2種類の色彩が提示されており、Munsell、CMYK、RGBの各方式で具体的な色指定が示されています。これにより、各環境での色表現の違いを考慮しながら、適切な色を選択することが可能になります。

ISO 22324は、緊急事態における情報伝達の効率性と正確性を向上させるための重要な規格です。この規格を適切に活用することで、より安全で安心な社会の実現に貢献できるでしょう。

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