ITunes Ping

iTunes Pingとは

iTunes Ping（ピング）は、かつてAppleが提供していた音楽に特化したソーシャルネットワークサービスです。2010年9月にiTunes 10の一部として登場しましたが、2012年9月にサービスを終了しました。ユーザーはPingを通じて、好きなアーティストをフォローしたり、友達と音楽の情報を共有したりすることができました。

サービスの特徴

Pingは、ユーザーがアーティストや友人の活動をタイムリーに把握できるのが特徴でした。具体的には、以下のような機能がありました。

アーティストのフォロー: 好きなアーティストをフォローすることで、最新情報をチェックできました。
友達との交流: 友達が購入した音楽やレビューを共有し、音楽の好みが合う人を見つけることができました。
* コンサート情報: 友達が行くコンサート情報を共有したり、チケットを購入したりすることができました。

歴史

誕生

iTunes Pingは、2010年9月1日に発表されました。当時のApple CEO、スティーブ・ジョブズはPingを「FacebookとTwitterがiTunesに出会ったようなもの」と表現し、音楽に特化したソーシャルネットワークとしての可能性を強調しました。サービス開始当初は、世界23カ国で100万人以上のユーザーを獲得し、注目を集めました。

商標問題

Pingの発表後、ゴルフ用品メーカーのPINGの親会社であるカーステン・マニュファクチャリングが、Appleのソーシャルネットワーク名に関して、Appleと商標使用の契約を締結したことを発表しました。

Facebookとの連携問題

Pingの発表当初、Facebookとの連携機能がデモンストレーションされましたが、実際にはすぐに削除されました。ジョブズは、Facebookとの合意に至らなかった理由として、Facebook側の条件が厳しかったことを挙げています。その後、Appleは認証なしでFacebookと統合したPingをスタートさせたため、FacebookはPingがリンクするのに必要なAPIへのアクセスを拒否しました。

スパム問題

Pingのサービス開始直後から、スパムが大量に発生するという問題が起きました。詐欺目的のユーザーが偽のプロフィールを作成し、「iPhoneを無料で」といった詐欺的な投稿を繰り返しました。セキュリティ企業のソフォスは、AppleがPingにスパム対策やURLフィルタリングを導入していないことを批判しました。

偽アカウント問題

サービス開始から間もなく、Ping上に著名人の偽アカウントが多数作成されるという問題も発生しました。これにより、Pingのセキュリティ対策の甘さが露呈しました。

利用制限

Pingは、iTunes Storeを制限なく利用できる23カ国でのみ利用可能でした。そのため、iTunes Storeへのアクセスが制限されている国では、Pingを利用することができませんでした。

サービス終了

Appleは2012年9月30日にPingのサービスを終了し、iTunesはFacebookとTwitterとの連携を強化する方向に転換しました。

評価

Pingに対する評価は賛否両論でした。好意的な意見としては、「感動した」「普段からこのサービスを使用できるように見える」「他の音楽ソーシャルネットワークに対して重要なアドバンテージである」「ソーシャルコマースの未来」「可能性を感じる」といったものがありました。一方で、既存のソーシャルネットワークとの連携不足や、基本的なソーシャルネットワークでの相互作用の欠如を指摘する批判もありました。CNNはPingを2010年の「もっとも大きい10の技術的失敗」の1つに選出しています。

もう一度検索