In vivo

in vivo（イン・ビボ）とは

「in vivo」は、ラテン語に由来する言葉で、「生体内」を意味します。学術論文や研究発表などで頻繁に用いられる用語であり、生物学、医学、薬学など、生命科学に関わる幅広い分野で使われています。

in vivo の意味と特徴

in vivo は、生きた生物の体内で起こる現象や反応を指す言葉です。具体的には、細胞、組織、臓器、個体全体など、生命活動を営む組織や個体内部での実験や観察を意味します。この用語は、実験環境が人為的にコントロールされていない自然な状態で行われることを強調するために用いられます。

例えば、薬の効果を調べる場合、in vivo の実験では、動物に実際に薬を投与し、その反応を観察します。これは、実際の生体内で薬がどのように代謝され、どのような効果を発揮するかを調べるために重要なステップです。

in vitro との対比

in vivo の対義語としてよく用いられるのが「in vitro（イン・ビトロ）」です。in vitro は「試験管内」を意味し、細胞や組織などを生体から取り出し、シャーレや試験管などの人工的な環境下で実験を行うことを指します。in vitro の実験は、特定の条件を細かく制御できるという利点がありますが、生体内の複雑な相互作用を完全に再現することはできません。

このように、in vivo と in vitro は、研究の目的や対象によって使い分けられます。in vivo の実験は、生体内で起こる複雑な現象を理解するのに役立ちますが、条件の制御が難しく、結果の解釈には慎重さが必要です。一方、in vitro の実験は、特定の現象を詳しく解析するのに適していますが、生体内の状況を必ずしも正確に反映するとは限りません。

研究分野による違い

「in vivo」と「in vitro」の区別は、研究分野によって多少異なります。

生理学など、個体や組織・臓器を対象とする分野: 個体を扱う場合は in vivo、個体から取り出した組織や臓器を扱う場合は in vitro となります。
細胞生物学や分子生物学など、細胞以下のミクロな対象を扱う分野: 培養された細胞を扱う場合は in vivo、細胞から取り出した細胞内器官や物質（DNAやタンパク質など）を扱う場合は in vitro とみなされることが多いです。

このように、どのレベルを「生きている」とみなすかによって、in vivo と in vitro の定義が変わることがあります。

まとめ

in vivo は、生命科学分野における重要な概念であり、生体内で起こる複雑な現象を理解するための不可欠なアプローチです。対義語である in vitro との区別を理解することで、研究の目的や対象に応じた適切な実験手法を選択することが可能になります。

関連用語

in situ: 「その場」を意味し、細胞や組織を元の状態のまま観察・解析する手法を指します。
in silico: 「コンピュータ内」を意味し、コンピュータシミュレーションを用いて実験や解析を行う手法を指します。

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