In-System Programming

In-System Programming (ISP)

In-System Programming (ISP)、日本語では「インシステム プログラミング」と呼ばれるこの技術は、PLD（プログラマブルロジックデバイス）やマイクロコントローラといった、内部にプログラムや設定情報を保持する電子部品に対して、その部品が既に最終的なシステム基板上に実装された状態でプログラムの書き込みを行う手法を指します。

従来の一般的な手法では、電子部品をシステムに組み込む前に、別途専用の装置（プログラマ）を用いてプログラムを書き込んでおく必要がありました。しかし、ISPの登場により、この工程は大きく変わりました。ISPを利用することで、部品がシステムに組み込まれた後、つまりシステムがほぼ完成した状態になってからプログラムを書き込むことが可能になります。

このISP機能の導入は、電子機器の製造プロセスにいくつもの大きな利点をもたらしました。

まず第一に、システムの組み立て工程とは別にプログラム書き込み専用の工程を設ける必要がなくなります。これにより、電子機器メーカーは、部品の実装からプログラムの書き込み、さらには最終的な機能テストまでを、一連の製造ライン工程の中で効率的に実行できるようになります。製造プロセスの簡素化と全体の時間短縮に貢献するのです。

次に、部品メーカーや代理店からプログラムが書き込まれた状態のチップを仕入れる必要がなくなり、プログラムが書き込まれていない汎用のチップを調達して、製造ライン上で製品に合わせてプログラムを書き込むことが可能になります。これは、サプライチェーンの柔軟性を高めるだけでなく、製品の生産が開始された後であっても、プログラムのコードや設計に修正が必要になった場合に、迅速かつ柔軟に対応できるというメリットがあります。設計変更に伴う部品の再手配などが不要になるため、開発期間の短縮やコスト削減にも繋がります。

技術的な側面を見ると、ISPに対応したチップは、プログラム書き込みに必要な駆動電圧を、システム本来の電源供給電圧から内部回路で生成する機能を内蔵していることが一般的です。これにより、書き込み時に外部から特殊な高電圧を供給する必要がなくなります。プログラムを書き込むための外部装置（ライタやプログラマ）との間は、通常、シリアル通信プロトコルを用いてデータの送受信が行われます。

使用される通信プロトコルは、デバイスの種類によって異なります。多くのPLDでは、自動化されたテスト手順との連携を容易にする目的もあり、JTAGプロトコルがISPの標準として採用されています。JTAGは、システムのテストやデバッグにも広く利用される汎用性の高いインターフェースです。一方、他の種類のデバイスでは、各メーカー独自のシリアルプロトコルや、以前から定められている古い規格に基づいたプロトコルが使用されるケースも多く見られます。

さらに、複数の集積回路（IC）を組み合わせた複雑な電子システムにおいて、直接JTAGに対応していないフラッシュメモリや特定のマイクロコントローラなどの部品にプログラムを書き込む必要がある場合もあります。このような場合、システム設計の中に、JTAG経由で制御できるプログラム書き込み用のサブシステムを組み込むといった手法が取られることがあります。これは、プログラムの書き込み作業からシステム全体の機能検証に至るまでの一連の手順を、単一のJTAGプロトコルを用いて統合的に管理・実行できるようにするためであり、特に複雑なシステムの製造やテストにおいて、効率性と信頼性を向上させる上で重要な役割を果たします。

ISPは、現代の電子機器の製造において、生産効率の向上、設計変更への迅速な対応、そして全体的なコスト削減に不可欠な技術として広く活用されています。

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