Infrastructure as a Service

IaaS（Infrastructure as a Service）の概要

IaaSは、インターネットを通じてコンピュータシステムの基盤となるインフラを提供するサービスです。仮想マシン、ネットワーク、ストレージなどのリソースを、必要に応じて利用できます。ユーザーは物理的なサーバやデータセンターを所有する必要がなく、必要なリソースをオンデマンドで利用し、従量課金されるため、コスト効率に優れています。これは、従来のオンプレミス環境におけるハードウェアやソフトウェアの導入・管理にかかるコストと手間を大幅に削減できることを意味します。

IaaSは、クラウドコンピューティングサービスの主要な形態の一つであり、SaaS（Software as a Service）やPaaS（Platform as a Service）と並んで重要な位置を占めています。PaaSがアプリケーション開発環境を提供するのに対し、IaaSはより基礎的なインフラ層を提供することで、ユーザーはオペレーティングシステム、CPU、メモリ、ストレージといったリソースを自由に選択し、柔軟なシステム構築が可能です。

IaaSは、当初Hardware as a Service（HaaS）と呼ばれていましたが、単なるハードウェアリソースの提供という解釈と区別するため、現在のIaaSという名称が定着しました。

IaaSの利用形態

IaaSを利用することで、ユーザーは仮想サーバ上で以下の要素を自由に選択できます。

オペレーティングシステム: Windows、Linuxなど、様々なOSを選択できます。
CPU: サーバの処理能力に合わせてCPUの性能を選択できます。
主記憶装置（メインメモリ）: アプリケーションの動作に必要なメモリ容量を選択できます。
補助記憶装置（ストレージ）: HDDやSSDなど、様々なストレージオプションから選択し、データ容量や性能を調整できます。

この柔軟性により、ユーザーは特定のアプリケーションやワークロードに最適化された環境を構築できます。例えば、大規模なデータ処理を行うアプリケーションであれば、高性能なCPUと大容量メモリ、高速なストレージを選択できます。一方、小規模なWebサイトであれば、比較的低コストなリソースで十分な場合があります。

IaaSのメリット

IaaSのメリットは多岐に渡ります。

コスト削減: ハードウェアの購入や保守にかかるコストを削減できます。従量課金制のため、必要な分だけ支払うことができます。
柔軟性: 必要なリソースを必要な時に利用できるため、ビジネスの変化に柔軟に対応できます。
スケーラビリティ: リソースを簡単に増減できるため、トラフィックの急増にも対応できます。
可用性: 複数のデータセンターにリソースが分散されているため、高い可用性を確保できます。

IaaSの歴史

「HaaS」という言葉は2006年3月にエコノミストのNicholas Carrによって最初に使用されましたが、「IaaS」という用語に取って代わられました。IaaSは2006年後半から、Savvis、BlueLock、ZDNet、Tier 3などの企業によって利用され始め、急速に普及しました。

IaaSの読み方

IaaSの読み方には、イアース、アイアス、アイアース、イァースなど、複数の読み方が存在します。英語圏での発音も様々です。

まとめ

IaaSは、企業や個人がクラウド環境を活用するための重要な基盤技術です。コスト効率、柔軟性、スケーラビリティ、可用性の面で優れたメリットを提供し、現代のITインフラストラクチャを支える重要な役割を担っています。今後ますますその重要性が増していくことが予想されます。

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