Innocent Age (茅原実里のアルバム)

茅原実里の6枚目のオリジナルアルバム『Innocent Age』は、2016年4月6日にLantisからリリースされました。このアルバムは、21枚目のシングル「会いたかった空」での手応えを活かし、「“恋”が“愛”へ移り変わる気持ち」をコンセプトに制作されました。ジャケット写真はシンガポールで撮影され、アルバムタイトルには「純粋に人に恋をして、人を愛した時間」という意味が込められています。

制作の背景

アルバム制作にあたり、各楽曲には様々なテーマが設けられています。例えば、「視線の行方」は聴き終えた後に笑顔になるようなイメージ、「きみのせいだよ」はプロデューサー斎藤滋の念願が叶い、楠瀬拓哉が作曲を担当。茅原自身もHysteric Blueの楽曲を聴いていたことから、楠瀬の参加に喜びを感じたそうです。「あなたの声が聴きたくて」のレコーディングでは、歌の方向性に迷った際にディレクターから「自分のキャラクターソングだと思って歌ってごらん」というアドバイスが、悩みを打破するきっかけになったと語っています。

「月のように浮かんでる」はコンペで選ばれた楽曲で、デモを聴いた時にイントロのストリングスに衝撃を受けたとのこと。「春風千里」は、作詞中に茅原自身が見つけた言葉で、「春風は千里先にも吹き渡る」という意味から、「この先どんなに離れていてもどんなに遠くても、いつまでもどこまでもあなたのことを好きでいます」という思いを込めてタイトルが付けられました。楽曲のテーマである「嫉妬」という感情を表現するため、レコーディングはハードなものになったようです。「ラストカード」では、「最後のもう一歩がなかなか踏み出せないもどかしい気持ち」を描くため、クリックを聴かずにビートやリズムを感じて歌うことを心がけたそうです。「Love Blossom」の制作途中では、より優しさや温かみを感じさせるために木管楽器が取り入れられました。「Dancin'世界がこわれても」は、攻めた歌詞に合わせてエロティックな歌を目指し、西城秀樹を意識したとのこと。「カタチナイモノ」は、心の弱さから感情が溢れ出す様子をイメージしてレコーディングに臨んだと語っています。

楽曲について

アルバム収録曲は、恋の始まりから終わりまでを描いた物語のように構成されています。「いつかのわたしへ」は恋の物語のプロローグ、「Awakening the World」は「二人の出会い」をテーマにした爽やかな楽曲です。「視線の行方」は「意識の変化」、「きみのせいだよ」は「憧れ」をテーマに、それぞれ異なる愛の側面を描いています。「あなたの声が聴きたくて」は、チャイナ風のアレンジが特徴的な可愛らしい楽曲で、相手のことが気になって話したくて仕方ない気持ちを表現しています。「月の様に浮かんでる」は、「好きな人に気持ちを伝えたい衝動」をテーマに、「伝えたいけど伝えられない」という恋の苦しさを描いています。「春風千里」は「嫉妬」、「ラストカード」は「近づいていく距離」、「Love Blossom」は「好きな人と結ばれた喜び」をテーマにしています。「Dancin'世界がこわれても」はライブでファンと共に歌うことを意識したパーティーチューンで、「心の解放や快楽」をテーマにしています。「カタチナイモノ」は「不安や疑心」、「ふたり」は「思いやり」、「ありがとう、だいすき」は「安心」をテーマにした楽曲です。「会いたかった空」は「恋から愛へ」という本作の恋物語の終着点であり、「はるかのわたしへ」は未来の自分が幸せであって欲しいという願いが込められたエピローグ曲となっています。

リリースとツアー

アルバムは、BD付限定盤、DVD付限定盤、通常盤の3形態でリリースされ、限定盤には「Love Blossom」と「恋」のPV、2013年のクリスマスライブの映像が収録されています。リリース後には、本作を引っ提げたコンサートツアー『Minori Chihara Live Tour 2016 〜Innocent Age〜』が開催されました。

評価

CDジャーナルは、リード曲「Love Blossom」について両想いになった幸せ感を表現していると評価し、アルバム全体を通して憧れから恋愛へと変化していく心の移ろいを追って聴くと、より深く感情移入できると評しました。

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