Inter-IC Sound

Inter-IC Sound (I²S) について

Inter-IC Sound（I²S）は、集積回路（IC）間でデジタル音声データをシリアル伝送するための規格です。一般的にはI²SまたはI2Sと表記されます。この規格は、主にオーディオ機器において、デジタルデータを正確かつ効率的に転送するために利用されています。

I²Sの構成

I²Sは、主に3本の信号線で構成されており、これらの信号線は同期して動作します。信号線の名称はメーカーやデータシートによって多少異なる場合がありますが、一般的に以下の名称が用いられます。

1. LRCLK (LR Clock)
LRCLKは、Left/Right Clockの略で、2チャンネルステレオ音声信号の左右チャンネルを区別するための信号です。この信号が切り替わることで、どのチャンネルのデータが送信されているかが識別されます。Word Clock（WDCLK）とも呼ばれることがあります。

2. BCLK (Bit Clock)
BCLKは、Bit Clockの略で、SDATA（後述）信号のタイミングに合わせてデータをラッチするための信号です。BCLKによって、SDATA信号が多少変動しても正確なビット列を伝送することが可能になります。Serial Clock（SCLK）とも呼ばれます。

3. SDATA (Serial Data)
SDATAは、Serial Dataの略で、デジタル化された音声データのビット列を伝送する信号です。この信号には、実際の音声データがビット単位で含まれています。

上記の3つの信号線に加え、ICの種類によっては、基準クロック信号であるMCLK（後述）が必要になる場合があります。

4. MCLK (Master Clock)
MCLKは、Master Clockの略で、デジタル信号の動作基準となるクロック信号です。一部のICでは、このMCLKを外部から供給する必要があります。また、ICによっては、上記の3信号（LRCLK、BCLK、SDATA）と同期してMCLKを内部生成する機能を有している場合もあります。System Clock（SYSCLK）とも呼ばれることがあります。

I²Sの用途

I²Sは、主に以下の用途で利用されます。

D/Aコンバータ (DAC) の入力: DACは、デジタル音声データをアナログ音声データに変換するデバイスであり、I²SはデジタルデータをDACに伝送するために使用されます。
A/Dコンバータ (ADC) の出力: ADCは、アナログ音声データをデジタル音声データに変換するデバイスであり、I²SはデジタルデータをADCから出力するために使用されます。
DAI (Digital Audio Interface) の出力: DAIは、デジタルオーディオインターフェースのことで、S/PDIF|S_PDIFやUSBなどのデジタル入力データをI²S形式で出力するために使用されます。

I²Sの重要性

I²Sは、オーディオ機器におけるデジタル音声データの伝送において、非常に重要な役割を果たしています。その理由は、以下の通りです。

正確なデータ伝送: クロック信号（BCLK）を用いることで、データが正確に伝送され、ジッター（タイミングのずれ）を最小限に抑えることができます。
高音質: 正確なデータ伝送は、高品質な音声再生に不可欠であり、I²Sは高音質オーディオ機器に広く採用されています。
シンプルな構成: 3本の信号線のみで構成されているため、実装が比較的容易であり、様々なオーディオ機器に適用できます。

まとめ

I²Sは、デジタル音声データを正確かつ効率的に転送するための重要な規格であり、オーディオ機器において欠かせない技術です。LRCLK、BCLK、SDATAという3つの信号線を活用することで、高品質な音声伝送を実現しています。

外部リンク

* Digital Audioの伝送について(I2S編) - ラトックシステム PC Audioブログ

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