InterPlanetary File System

InterPlanetary File System (IPFS) について

InterPlanetary File System (IPFS)は、データの保存や共有を分散型で行うためのプロトコルであり、P2P（ピアツーピア）ネットワークの特性を持っています。このシステムは、コンテンツアドレス（CID）を採用し、ファイルを一意に識別しています。従来のHTTPプロトコルと異なり、IPFSはコンテンツの位置ではなく、内容そのものに基づいてデータを取得します。

IPFSの基礎

IPFSは、同じファイルシステムを持つ複数のコンピュータに接続し、データを取得するための分散ファイルシステムです。通常のウェブでは、特定の場所を指定してコンテンツを取得しますが、IPFSではコンテンツのハッシュを指すCIDを使います。このように、内容アドレス記憶装置（Content-Addressable Storage、CAS）として機能し、ネットワーク上の最寄のピアから必要なデータを取得できます。

この分散ネットワークの基盤には、Kademliaアルゴリズムが使われています。これにより、分散ハッシュテーブルと自己証明名前空間が統合されており、システムは単一障害点を排除しています。結果として、信頼しあう必要がなく、さまざまなピアが連携しながら高いスループットのデータストレージを実現しています。

アクセス手段

IPFSには、FUSE（Filesystem in Userspace）やHTTPを通じてアクセスする方法が用意されています。これにより、ローカルのファイルをIPFSのファイルシステムに追加し、世界中のユーザーと共有することが可能です。各ファイルはハッシュに基づいて識別されるため、キャッシングも簡単になります。また、Bittorrentを基にしたプロトコルを利用して、コンテンツの配布が行われます。さらに、ユーザーは他者に共有されるコンテンツを取得し、共有するというサイクルが生まれます。

IPFSの一部に含まれるIPNS（InterPlanetary Naming System）は、PKI（公開鍵基盤）に基づいたネームサービスで、信頼できるチェーンの構築に役立ちます。IPNSは他のネームサーバーとも互換性があり、DNSや.onion、.bitと連携して使うことができます。

データの永続性とそのリスク

IPFSの特異な点は、一度アップロードされたファイルは削除の保証がないことです。つまり、アクセス制御が難しく、CRUD（作成、読み取り、更新、削除）の実現が不可能です。すべてのファイルは常に公開され続け、第三者によってピン留めされてキャッシュが維持される可能性があります。このような性質を活かし、恒久的なデータ保存サービスが存在することもあります。

IPFSの誕生と評価

IPFSは、ホアン・ベネット（Juan Benet）が提案したプロトコルで、彼が設立したProtocol Labsがオープンソースコミュニティと協力して開発を進めています。2021年1月、ブラウザBraveがIPFSを標準でサポートすることを発表し、これによりIPFSが統合された初のブラウザとなりました。

ウェブホスティングサービスの設立者であるカイル・ドレイクは、IPFSがHTTPなどのプロトコル後継になるという強い信念を持っており、現在のHTTPに存在する根本的な問題点を指摘しています。彼は、IPFSが将来的により多くの課題を解決する可能性を秘めていると述べています。

参考資料

• - IPFSの公式サイト
• - Interplanetary Networks
• - Protocol Labsの情報

以上がIPFSに関する概要です。この技術は、今後のウェブのあり方に大きな影響を及ぼすと期待されています。

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