International Protection

インターナショナル・プロテクションの概要

インターナショナル・プロテクション（International Protection、略称：IP）は、IEC60529に基づく規格で、機器や器具の外部からの保護を評価するための指標です。この規格では、外部の固体物質や液体からの侵入を防ぐ構造を等級にて示し、特に電気機器に関わる安全性を高める目的があります。日本でも、日本工業規格（JIS C 0920）がこのIECの規格を採用し、国内製品においても広く活用されています。

IPコードの解説

IPコードは「IP」に続く二桁の数値から成り立っています。最初の数字（第一特性数字）は固体物質からの保護を示し、0から6までの数字が割り当てられています。0が無保護、1は直径12.5mm以上の固体物体の侵入を防ぎ、最高で6は粉塵の侵入を完全に遮断することを意味します。

次に、第二特性数字は液体からの保護を表し、0から8までの数字が用意されています。例えば、0は無保護、1は直滴の水から保護、6は水中への浸水から保護されていることを示します。これらの数字は、機器の設計や使用環境に応じた性能を選定する際の重要な指標となります。

さらにオプションとして付加特性文字を利用することも可能ですが、これはあくまで選択的な情報です。

保護等級の限界

それにもかかわらず、IP等級だけでは保護の信頼性を完全に評価することは難しいと言えます。なぜなら、時間や圧力、温度変化など、使用環境に依存する要素について具体的な条件を示していないためです。このため、製品メーカーは自主的に「製造から1年間通常使用していて水深1mで30分」のような追加の情報を提供し、より具体的な信頼性を示すことが求められます。

特に、耐水性や耐湿性が重要な製品に関しては、単にIP等級だけに頼るのではなく、メーカーの公式な試験結果や使用条件をチェックすることが重要です。また、防滴や防水構造の性能を示すために、第一特性数字が「X」の場合、たとえばIPXなどの表記が使われることがあります。これは、特定の条件下で液体の侵入に対する評価が無いことを示しています。

まとめ

インターナショナル・プロテクションは、機器の保護を評価するための指標として有用ですが、使用環境や条件に応じて信頼性を確認するための十分な情報にはならないこともあります。したがって、製品選定の際はIP等級とともにその他の仕様や技術文書も合わせて確認することが推奨されます。安全性を確保するために、特に風雨や湿気が多い環境での使用を予定している場合は、実績や耐久性を重視した選択を行うことが求められます。

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