IronRuby

IronRubyとは

IronRubyは、マイクロソフトが開発した.NET Framework上で動作するRubyの実装です。動的型付けや動的メソッドディスパッチなどの動的言語機能を.NET環境で実現するために、Dynamic Language Runtime (DLR) を基盤として構築されています。現在では、Apache License 2.0 の下でオープンソースとして公開され、ユーザーコミュニティによって開発と管理が行われています。

歴史

IronRubyは、Wilco Bauwer氏のIronRubyプロジェクトから名称を引き継ぎ、2007年4月30日にMIX 2007で発表されました。その後、2007年7月23日にOSCON 2007でJohn Lam氏とDLR設計チームによってコンパイラのプレアルファ版が公開され、オープンソースコミュニティへの迅速な移行が表明されました。

2009年5月21日：RailsConf 2009でバージョン0.5が発表され、Ruby on Railsのデモが披露されました。
2009年7月2日：バージョン0.6が公開されました。
2009年7月23日：OSCON 2009でバージョン0.9が発表され、バージョン1.0への道筋が示されました。
2009年8月1日：バージョン0.9が公開されました。主要な機能実装は0.9で終了し、1.0リリースに向けて品質向上が主な作業となりました。
2009年11月2日：バージョン0.9.2が公開されました。バグ修正とDLRの更新が主な修正点です。
2010年4月12日：バージョン1.0.0が公開され、初の安定版として正式リリースされました。
2010年7月17日：ライセンスがMicrosoft Public LicenseからApache License ver. 2.0に変更されました。
2010年10月21日：IronRubyとIronPythonがマイクロソフトの管理下から離れることが発表されました。
2010年10月21日：バージョン1.1.1がリリースされました。マイクロソフトとしての最後のリリースとなり、Visual Studioへのアドオン機能が追加されました。また、このリリースでRuby 1.9.1との互換性が確保されました。
2011年2月7日：バージョン1.1.2がリリースされ、コミュニティへの移管後初のリリースとなりました。
2011年3月13日：バージョン1.1.3がリリースされました。

IronRubyは、RubySpecに基づいて実装されており、GithubのIronRubyリポジトリにはMSpecテストフレームワークを使用したRubySpecのテストが含まれています。

Monoへの対応

IronRubyは、マイクロソフトのCLRだけでなく、オープンソースのMonoでも動作します。ただし、マイクロソフト管理下ではWindowsのCLRでのみ動作確認が行われ、Mono上でのビルド確認は行われていませんでした。Monoでのビルドに関する情報はGithubのWikiに記載されています。

動作保証ランタイムバージョン

Version 1.0.0
.NET Framework 2.0 SP1
.NET Framework 4.0
Version 1.1 以降
.NET Framework 4.0
Silverlight 4

.NETとの相互互換性

Rubyから見ると.NETのクラスはRubyのクラスではないため、相互運用性は限定的です。しかし、.NETアセンブリの呼び出しや.NETからのRubyスクリプトの呼び出しは比較的容易に行えます。

ライセンス

IronRubyは、当初BSDスタイルのライセンスに近いMicrosoft Public Licenseでリリースされていましたが、2010年7月16日にApache License v2.0に変更されました。この変更は、IronRuby、IronPython、そしてDynamic Language Runtime (DLR) 全体に適用されました。

関連書籍

Shay Friedman, "IronRuby Unleashed", Sam's, 2010, ISBN 0672330784
Ivan Porto Carrero and Adam Burmister, "IronRuby in Action", Manning, 2010, ISBN 1933988614

関連項目

JRuby
Ruby
IronPython

外部リンク

Codeplex IronRuby
IronRuby
IronRuby source code
S. Somasegar's blog entry announcing IronRuby
John Lam's IronRuby blog entry
John Lam's IronRuby release blog
State of IronRuby by John Lam at RubyConf 2007
IronRuby: The Right Language for the Right Job by John Lam at PDC2008

もう一度検索