J-8 (航空機)

J-8（殲撃八型）詳細

J-8（殲撃八型、Jian-8）は、中華人民共和国において開発された戦闘機であり、NATOコードネームは「フィンバックA」で知られています。この機体は、旧ソ連の高々度高速迎撃機Ye-152Aの影響を受け、MiG-21を基にした国産機であるJ-7の発展型として登場しました。

概要

J-8は、双発化のアプローチを採用しており、機体の拡大や搭載機関砲の変更（30mmへの換装）、搭載機器の近代化が進められました。目指されたのは、一線級の全天候型戦闘機ですが、開発当初における技術力の不足が顕在化してしまい、また、電子機器の開発が遅れたため、計画は大幅に遅延しました。最終的に配備の段階では、すでに旧式化しており、十分な全天候性能も備えていませんでした。このため、1981年に初飛行した近代化型のJ-8Iや、大幅な改設計を施したJ-8IIが続けて開発されました。

生産は少数にとどまり、1987年には製造終了が宣言されました。生産されたJ-8は、その後、近代化型のJ-8Eに改修されたり、偵察型のJZ-8（J-8R）に変更されたりしました。J-8Eは2007年に退役計画が発表され、最終的には2011年に退役しています。

開発の経緯

中国はかつてMiG-21を基にしたJ-7を生産しましたが、その後の戦闘機開発は旧ソ連との関係が悪化したため、国内での独自開発が必須となりました。これにより、1964年5月にはJ-8の開発が指示され、目標とする戦闘機の性能は次の通りです。

• - 最大速度：マッハ2.2
• - 最大高度：20,000m以上
• - 最大上昇率：毎秒200m
• - 標準航続距離：1,500km、最大航続距離：2,000km
• - 長距離捜索レーダーの搭載

実際の作業は1965年に始まり、試作機は1969年に初飛行を果たしました。しかし、この試作機のフライトテストでは、さまざまな課題が浮かび上がり、特に超音速時における振動や機体外板温度の上昇、エンジンの空中停止などが問題となりました。文化大革命の影響も受け、開発は大幅に停滞しました。

開発が進展し、1980年5月に生産型が完成したものの、その後もさらなる問題が発生しました。度重なるトラブルから初飛行は遅れ、搭載する電子機器の開発状況も影響を受け、レーダーの完成は1984年まで延期されました。このレーダーは国内で独自に開発されたSR-4でした。

スペック（J-8A）

• - 翼幅：9.34 m
• - 全長：21.52 m
• - 全高：5.4 m
• - エンジン：渦噴-7Aターボジェットエンジン2基
• - 推力（アフターバーナー未使用）：8,600 kg/s
• - 推力（アフターバーナー使用）：12,000 kg/s
• - 最高速度：マッハ2.2（2340 km/h）
• - 実用飛行上限高度：20,500 m
• - 乗員：1名
• - 固定武装：23 mm機関砲2門
• - 武装：PL-2空対空ミサイル、爆弾、ロケット弾、増槽

派生型

J-8には多くの派生型が存在し、以下の通りです：

• - J-8プロトタイプ：1968年に2機が制作、1979年12月に開発終了。
• - J-8/J-8R：最初の量産型。
• - J-8A：全天候型、旧称J-8Ⅰ。
• - J-8II～J-8F：改設計型。
• - J-8E：近代化型。
• - JZ-8（J-8R）：偵察型。
• - J-8ACT：試験機。

このようにJ-8（殲撃八型）は中国における航空機開発の歴史の一端を担う機体であり、数々の技術的挑戦を経て、成長し続けてきました。

もう一度検索