JISキーボード

JISキーボード：日本のコンピューターキーボードの標準規格

JISキーボード、またはJIS配列キーボードは、日本産業規格 (JIS) に基づいて設計された、日本のコンピューター用キーボードです。その歴史は長く、タイプライターの時代から始まり、現在に至るまで日本のコンピューター環境を支え続けています。本稿では、JISキーボードの規格、歴史、そして現代におけるその役割について詳しく解説します。

JIS規格と歴史

JISキーボードの起源は、1964年に制定された『JIS B 9509-1964 カナ・ローマ字タイプライタのケン盤配列』にまで遡ります。これは、カナ文字タイプライターの配列を標準化したもので、後のJISキーボードの基礎となりました。その後、コンピューター端末の普及に伴い、データ通信を考慮したキー配列の標準化が進められ、1972年には『JIS C 6233 情報処理系けん盤配列』が制定されました。この規格は、国際標準化機構 (ISO) の規格と整合性を図りながら、日本の言語特性を反映したキー配列を規定しています。

初期のJISキーボードは、7ビット符号を使用するシステムを想定していたため、漢字入力は考慮されていませんでした。しかし、コンピューターの進化に伴い、漢字入力を含む様々な機能が追加され、現代のJISキーボードは、アルファベット、かな、漢字、記号など、幅広い文字の入力をサポートしています。

JISキーボードとANSIキーボードの違い

JISキーボードは、英語キーボードで主流のANSIキーボードと、アルファベット配列は基本的に同じですが、特殊記号の配置などが異なります。この違いは、日本の言語特性や、初期のコンピューターシステムにおける文字コードの仕様などに起因します。JISキーボードでは、かな入力に特化したキー配列が採用されており、日本語入力の効率性を高める工夫が凝らされています。

カナ配列と新JISキーボード

初期のJISキーボードのカナ配列は、50音順を重視した配列でしたが、これはタッチタイピングの効率性を阻害する問題がありました。そこで、1986年にはキー列を3段とした新しいカナ配列が『JIS X 6004-1986 仮名漢字変換形日本文入力装置用けん盤配列』として標準化されました。しかし、この新しい配列は、既存の配列に慣れたユーザーからは不評で、普及には至りませんでした。

PC/AT互換機|PC_AT互換機とOADG標準

1980年代後半から1990年代にかけて、PC/AT互換機|PC_AT互換機が普及するにつれ、OADG（日本オフィス自動化推進協会）が標準化したOADG 109キーボードが主流となりました。これは、JIS規格に準拠しながら、PC/AT互換機|PC_AT互換機に最適化されたキー配列であり、多くのアプリケーションとの互換性も確保しています。現在では、多くの日本のパソコンでこのOADG 109キーボード、またはその派生型が採用されています。

現代のJISキーボード

2000年代以降は、デスクトップパソコンの小型化やノートパソコンの普及、そしてメーカー独自の工夫などにより、JISキーボードのキー配列はさらに多様化しています。しかし、基本的にはJIS規格に準拠した配列を維持しており、日本語入力のための重要な役割を担い続けています。

まとめ

JISキーボードは、日本のコンピューターの歴史と密接に関連した、重要な入力デバイスです。その歴史、規格、そして現代における役割を理解することで、日本のコンピューター文化の一端を垣間見ることができます。今後も、日本の言語環境やテクノロジーの進化に合わせて、JISキーボードは進化を続け、日本の情報社会を支え続けるでしょう。

もう一度検索