JM (映画)

映画『JM』について

1995年に公開された『JM』（ジェイエム、「Johnny Mnemonic」）は、サイバーパンクジャンルに属するSF映画で、カナダとアメリカが共同制作した作品です。本作はロバート・ロンゴが監督し、キアヌ・リーブスやドルフ・ラングレンといった名優が出演しています。物語の原案となったのは、著名なSF作家ウィリアム・ギブスンの短編小説『記憶屋ジョニィ』であり、ギブスンもこの作品の脚本を手掛けています。

映画『JM』は、東アジアの影響を色濃く受けた未来社会を背景に、巨大企業が支配するディストピアを描いています。物語の中心となるのは、脳に埋め込まれた記憶装置を持つ宅配業者、ジョニー・ニーモニック（キアヌ・リーブス）です。ジョニーは、通常のネットワークにアクセスできない機密情報を運び、この情報は暗号化されているため、彼自身はその内容を理解することができません。彼にとって、自身の生命がかかった重要な仕事が待ち受けています。

ある日、彼は装置の限界を超えた情報を運ぶ任務を受けます。この情報は莫大な金銭的価値を持っており、期日内に届けなければ彼の生命は脅かされることになります。情報の所有者である企業の暗殺者に追われ、ジョニーは思いもよらないトラブルに見舞われます。彼の後を追う殺し屋たちや、情報を狙う悪党たちとのスリリングな攻防が展開されます。

キャスト

本作には多くの著名なキャストが揃い、特にタカハシ役を演じた北野武はハリウッドデビュー作としても話題になりました。ジョニー役のキアヌ・リーブスは、独特の演技で観客の心を掴みます。また、ディナ・メイヤーやドルフ・ラングレンなどの実力派俳優たちも参加し、ストーリーに彩りを加えていることが魅力です。

制作と評価

撮影はカナダのトロント、モントリオール、アメリカのニューアーク、さらには北京と、様々なロケ地が使用されました。公開後、映画は商業的にそこそこの成功を収めましたが、批評家からは厳しい評価も受けています。Rotten Tomatoesでは、批評家の一致した見解として「酷いミスキャストに加えて物語的に間違った方向に導かれている」とされており、平均点は低い数値に留まりました。

一方で、主役のキアヌ・リーブスは数年後に『マトリックス』で一躍スターダムに上がり、その後のキャリアに多大な影響を及ぼしました。北野武もこの作品を気に入っており、サイバーパンクというジャンルの魅力について語っています。映画の短編小説との違いとして、主要キャラが変更されている点や、特有の病気（神経衰弱症候群）の創造など、多くの要素が加味されています。

まとめ

『JM』は、主人公が記憶を運ぶ運び屋としての過酷な運命を描きながら、サイバーパンクの世界観を巧みに表現した作品です。時代を先取りしたストーリーとゴシックなビジュアルは、今なお観客の記憶に残ります。2022年には本作のモノクローム版のブルーレイも発売され、今後もその影響力は続くでしょう。

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