JP1

統合システム運用管理ツール JP1

JP1は、日本のIT企業である日立製作所が開発・販売を手がける「日立オープンミドルウェアシリーズ」の中核をなすソフトウェア製品群です。1994年に市場に登場して以来、企業のITシステム運用管理を支援する統合ツールとして広く利用されています。国内の運用管理ツール市場において、その存在感は非常に大きく、2022年度には国内売上シェアで約26.1%を獲得し、トップの地位を占めています。

多様化・複雑化する現代のIT環境に対応するため、JP1はその提供形態も進化させてきました。従来のオンプレミス環境での利用に加え、2021年からはクラウドサービスとして手軽に利用できる「JP1 Cloud Service」を提供開始。さらに、最新の技術動向を取り込み、2024年には運用業務の効率化や高度化を支援する生成AIとの連携機能も追加されています。

主な機能

JP1は、ITシステムの安定稼働と効率的な運用を実現するために、以下の6つの主要な機能領域を提供しています。

オートメーション (主にJP1/AJS3, JP1/AO, JP1/DH)
オンプレミス環境やクラウド環境にまたがる定型業務や複雑なワークフローを自動化します。これにより、運用負荷の軽減と処理時間の短縮を実現します。

オブザーバビリティ (主にJP1/IM3, JP1/PFM, JP1/NNMi)
サーバー、ネットワーク、アプリケーションなど、ITシステム全体の稼働状況や性能を多角的に監視・分析し、システムの健全性を可視化します。問題の早期発見と原因特定を支援します。

エンドポイント管理 (主にJP1/ITDM2)
組織内のPCやサーバーといったIT資産の情報を収集・管理し、ソフトウェアライセンス管理やパッチ適用状況の把握などを容易にします。適切な資産管理を通じて、セキュリティリスクの低減にも貢献します。

バックアップ (主にJP1/VERITAS)
オンプレミス環境およびクラウド環境にある重要なデータを保護するためのバックアップ機能を提供します。災害発生時などのデータ復旧を迅速かつ確実に行うことが可能です。

セキュリティ (主にJP1/秘文)
情報漏洩対策に特化した機能を提供し、企業の機密情報を不正アクセスや誤操作から守ります。データへのアクセス制御や暗号化などにより、セキュリティレベルを向上させます。

通報 (主にJP1/TELstaff)
システム障害や異常が発生した際に、担当者へ迅速かつ確実に通知します。状況をいち早く把握し、ビジネスへの影響を最小限に抑えるための初動対応を支援します。

これらの機能群は、個別に利用することも、組み合わせて利用することも可能であり、企業の運用課題やニーズに合わせて柔軟なシステム構築を支援します。

関連製品

JP1は、日立製作所が提供する他のミドルウェア製品群とも連携することで、より広範なIT基盤の構築・運用をサポートします。代表的なものには、クラウドサービスプラットフォームのCosminexus、データベースのHiRDB、文書管理基盤のuCosminexus DocumentBrokerなどがあり、「日立オープンミドルウェア」として統合的なソリューションを提供しています。

競合製品

統合システム運用管理ツールの分野には、国内外の主要なITベンダーが製品を提供しており、JP1の競合製品としては以下が挙げられます。

IBM Tivoli
富士通 Systemwalker
野村総合研究所 千手
ヒューレット・パッカード (HP) OpenView
NTTデータ Hinemos
NEC WebSAM

これらの競合製品が存在する中でも、JP1は長年の実績と国内市場での高いシェアを背景に、多くの企業でITシステムの運用を支える重要な役割を担っています。

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