JRAブリーズアップセール

JRAブリーズアップセール：競走馬の登竜門

JRAブリーズアップセールは、日本中央競馬会（JRA）が主催する、将来を嘱望される競走馬のセリ市です。2005年に開始されたこのセールは、JRA育成牧場で丹精込めて育成された馬たちが、新たなオーナーのもとへと旅立つ重要な舞台となっています。

当初は、JRAが全国各地で開催していた競走馬セリ市で購入した馬を、日高育成牧場と宮崎育成牧場で育成した後、ウェーバー方式で販売する仕組みでした。しかし、公正性の観点から抽選販売は廃止され、現在の競り市方式へと移行しました。

このセールの大きな特徴は、時計の速さだけでなく、馬の走法や競走馬としての完成度といった育成の成果を重視している点です。調教された馬たちの能力を、購買を希望する馬主へ丁寧に紹介することで、最適なマッチングを目指しています。毎年4月下旬、中山競馬場（2007年は阪神競馬場）で開催され、多くの関係者や競馬ファンが集います。

2009年以降は、各地の当歳・1歳市場で競り落としたJRA育成馬に加え、「JRAホームブレッド」と呼ばれる、育成牧場で生産から育成まで行われた馬もセリの対象となっています。現在、JRAホームブレッドは日高育成牧場のみで実施されています。セリへの参加資格は、JRAの馬主登録者に限定されています。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2020年は中山競馬場での開催が中止となり、メールによる入札方式に変更されました。しかし、2021年からは会場でのセリとオンライン入札を組み合わせた「ハイブリッド方式」を採用し、より多くの馬主にセリに参加できる機会を提供しています。

万が一、セリに出場予定だった馬が直前に怪我などにより欠場した場合、またはセリで落札されなかった場合は、「JRAコンソレーションセール」が開催されることがあります。このセールは、未売却となった馬を対象としたもので、全国各地の2歳馬セリに再出品される場合もあります。当初予定のセリよりも前にコンソレーションセールに上場予定だったすべての馬が落札された場合は、コンソレーションセールは中止となります。

2011年から2022年までは、欠場馬を除く出品馬全頭が落札されるという好成績を収めてきました。しかし、2023年には13年ぶりに落札されない馬が出現し、話題となりました。この馬は、他の欠場馬とともに後日、別のセリに出品される予定です。

JRAブリーズアップセールは、数々の活躍馬を輩出しています。ダイワパッション、セイウンワンダー、エイシンオスマンなど、G1レースで勝利を収めた馬も多く、その高いレベルと実績が、セールの人気を支えています。

このように、JRAブリーズアップセールは、競走馬の育成から販売まで、その過程全体にわたるJRAの取り組みが凝縮された、競馬界にとって非常に重要なイベントです。今後も、多くの優秀な競走馬を送り出し、競馬界の発展に貢献していくことが期待されています。

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