JSTOR

JSTORとは

JSTOR（ジェイストア）とは、1995年に設立されたオンライン電子図書館であり、学術的な書籍やジャーナルを提供するプラットフォームです。このサービスは、全文検索機能を持ち、2,000近くの学術雑誌を収蔵しています。また、アクセスは主に大学や公共図書館などの研究機関を通じて行われ、特定の文献には個別に料金を支払うことでアクセスすることも可能です。ただし、古い文献の中にはパブリックドメインに該当するものがあり、これらは無償で利用できます。

歴史

JSTORは、プリンストン大学の前学長ウィリアム・ボウエンによって設立されました。ボウエンは、図書館が直面していた学術雑誌の高騰するコストや物理的な収蔵スペースの不足といった課題を解決するために、デジタルアーカイブの構想を持っていました。設立当初は10種ほどの経済学・歴史学関連の雑誌が含まれていましたが、ボウエンとその同僚の努力により、参加する雑誌の数は増加し続けています。特に、王立協会との協力により、1665年から発行されている『Philosophical Transactions of the Royal Society』がデジタル化され、その配信が始まりました。さらに、JSTORの機能は充実し、様々なブラウザでの利用が可能になっていきました。

コンテンツ

JSTORは900社以上の出版社から供給されたコンテンツを扱っており、現在は50を超える学問分野の1,900タイトル以上の学術雑誌が収蔵されています。さらに、2012年以降15,000冊以上の書籍が追加登録され、学術論文にリンクされる形で利用可能です。加えて、JSTORはData for Researchと呼ばれるサービスを展開しており、大規模なデータ分析を行う際に利用可能なデータセットを提供しています。JSTOR Plant Scienceというサービスでは、植物の標本画像が収蔵されており、特にアフリカやラテンアメリカの植物に関する情報が公開されています。

アクセス

JSTORは、大学や公共図書館、博物館などとの契約を通じて多くの利用者にサービスを提供しています。一般的には、これらの機関に在籍する研究者や学生が主なアクセス対象ですが、2013年からは卒業生も利用できるパイロットプログラムが開始されています。JSTORでは非契約者も一部の情報にアクセスできますが、本文にアクセスするためには契約が必要です。

2012年の時点で、JSTORには累計1億5200万件のアクセスがあり、7350万件の記事がダウンロードされています。また、JSTORはWikipediaの貢献者向けに特別なアクセス権を提供するプログラムを発表し、その後希望者に対して順次権限を付与しました。

アーロン・スワーツ事件

2010年から2011年にかけて、プログラマで活動家のアーロン・スワーツが、MITのネットワークを通じてJSTORから多くのジャーナル記事を不正にダウンロードしていた事件が発覚しました。彼は自身のコンピュータをMITのネットワークに接続し、大量のファイルを短時間で取得したとされています。スワーツは逮捕され、著作権関連の罪で起訴されましたが、最終的に彼は自ら命を絶つ結果となりました。これを受けてJSTORは、記事の無料閲覧を可能にする施策を拡大することを発表しました。

まとめ

JSTORは、学術情報のアクセスを容易にする重要なプラットフォームであり、世界中の多くの研究者や学生に利用されています。その豊富なコンテンツと便利な機能により、学術研究の発展に貢献しています。また、歴史的に重要な出来事や問題にも直面しており、今後も進化を続けることでしょう。

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