JT-60

JT-60: 日本の核融合実験装置

JT-60は、1985年から日本原子力研究開発機構により運営されている、磁場封じ込め型の核融合実験装置です。その名称は、JAERI Tokamakを短縮した「JT」と、当初のプラズマ体積である60立方メートルに由来しています。JT-60は、当時の最高水準となる核融合積を達成し、さらなる核融合研究の礎となりました。

JT-60の特性

JT-60はD型断面を持つトカマク型であり、欧州のJETに類似した構造を持っています。特筆すべきは、1998年に重水素プラズマを使用して得た優れた実験成績で、トリチウムを使わない方式でありながらも、高いQ値が期待されています。Q値は、投入エネルギーと生成エネルギーの比を示しており、核融合反応の持続には1を大きく上回る値が求められます。

2006年5月には、28.6秒間のプラズマ維持に成功し、前記録の16.5秒を更新しました。この成果は、安定した磁場を実現するために取り入れたフェライト部品の効果によるものです。

進化するJT-60SA

JT-60の後継機であるJT-60SAは、2007年に着工し、2020年に完成が発表されました。この装置は、世界最大規模の核融合実験装置であり、プラズマ体積はJT-60の約2倍の133立方メートルです。また、ITERに見合う高いプラズマ密度や物理的特性が期待されています。

JT-60SAは、遠隔操作が可能な設計であるため、欧州のパートナーとの共同実験も目指しています。超伝導コイルの採用により、プラズマの閉じ込め能力が向上し、フラットトップ時間（プラズマが安定して維持される最大時間）が100秒に設定されています。この100秒という目標は、安定したプラズマ状態を維持するために必要な時間とされています。

主要な目的と成果

JT-60SAにおける主要な目的は、核融合発電の実証研究を進めることです。ITERでは400秒のプラズマ維持が目指されていますが、JT-60SAは最初の段階として100秒間のプラズマ維持に取り組んでいます。また、その知識を基にして、さらなる長時間のプラズマ維持を試みることも可能になります。

JT-60SAは、ITERを補完する実験、支援、さらに次世代の核融合技術に寄与する人材育成を目的としています。装置の設置や改良においては、JT-60の実績や研究成果を活かしており、名目上もJT-60という名称が使われています。

2020年春には、「ファーストプラズマ」を点火するための統合試験運転が開始される予定でしたが、いくつかの障害が発生したことで遅れました。最终的に2023年10月23日にファーストプラズマの発生に成功しました。

主要性能

JT-60SAの特長的な性能は以下の通りです:

• - 装置形式: トカマク型
• - トロイダル磁場コイルおよび中心ソレノイドは超伝導型
• - プラズマ電流: 5.5 MA
• - トロイダル磁場: 2.25 T
• - プラズマ体積: 133 m³
• - フラットトップ時間: 100 s

このように、JT-60は日本の核融合研究において重要な役割を果たしており、次世代のエネルギー源としての核融合実現に向けた道を築いています。

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