JUNE (雑誌)

雑誌『JUNE』の歴史と影響

『JUNE』は、日本で初めて発行された女性向けの男性同性愛専門誌であり、1978年10月に創刊され、1995年11月まで続いた。この雑誌は漫画や小説を中心に、映画、文学の紹介や読者投稿を通じて、男性同性愛の魅力を探求していた。

創刊の背景

『JUNE』の創刊は、サン出版でアルバイトをしていた佐川俊彦のアイディアから始まった。彼は24年組（当時の漫画家グループ）の作品に興味を持ち、「女性向けのポルノ雑誌」の企画を提案し、創刊に至った。創刊当初は「Comic Jun」と名付けられたが、同名のファッションブランドからの抗議を受けて、第3号から『JUNE』に改題された。この時、編集長は櫻木哲郎が務め、多くの著名な漫画家や小説家が作品を提供した。

コンセプトと主な内容

『JUNE』は、コンセプトとして「耽美」を掲げ、女性向けに美しさや癒しをテーマにした作品を多く扱った。また、男女の恋愛や両性具有を描いた作品も含まれ、さまざまな視点から男性同性愛を探究していた。特に、初期の頃は無理心中や悲劇的な結末を扱った作品が多く見られたが、次第に異なるテーマの作品も増加していった。

読者層と文化的影響

主要な読者層は10代後半から20代前半の女性で、文学少女を中心に広がった。公の場で男性同性愛を語ることが少なかった当時、特に女性読者にとっては『JUNE』が貴重な逃避の場となった。読者は自分の感情や興味を深く掘り下げることができ、自らを表現する媒体としての役割を果たしたのだ。

『JUNE』は、発行後すぐに男性同性愛のテーマを広め、後の「やおい」やボーイズラブ（BL）文化の形成に寄与した。雑誌の成功により、男性同性愛の作品が一般に受け入れられる土壌を整え、多くの作家がデビューを果たした。また、竹宮惠子や中島梓といった著名作家が参加し、作品を通じて多様な表現方法を示したことで、後の世代の作家たちにも影響を与え続けた。

相次ぐ発行と一時的休刊

1980年代に入り、やおい同人誌が流行し始めると同時に、『JUNE』の発行部数は変動を見せた。一時期は高い部数を誇っていたものの、1990年代に入り、部数が減少し、最終的には1995年の休刊に至った。休刊後もその影響は続き、関連誌に作品が引き継がれた。

結論

『JUNE』は日本のボーイズラブ文化において、重要な役割を果たした雑誌として、今なお多くの人々に語り継がれている。特に、女性向けのコンテンツが商業ベースで展開される道を開き、その後の文化的動向に大きな影響を与えたことは評価されるべきである。

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