J/FPS-1

J/FPS-1の概要と歴史

J/FPS-1は、航空自衛隊における警戒管制レーダーとしては最初の大型固定式3次元レーダーです。この装置は、航空機の追尾や目標の高度測定を効率的に行えるよう設計されています。1972年に運用を開始し、当初は7ヶ所のレーダーサイトに導入されましたが、後に性能の陳腐化や維持管理の課題から早期に退役する運命が待ち受けていました。実際に、このレーダーは1977年までに新たな機種であるJ/FPS-2の導入により、役割を次世代機に譲る形となりました。

開発の背景

1960年代中盤、日本の航空には新たな防衛戦略が求められていました。当時は捜索レーダーと測高レーダーの2種類を使用しており、目標機の高度を測定するためには手動での追尾も必要でした。このため、航空自衛隊は1台で両方の機能を維持できるレーダーの開発を急務とし、1961年にJ/FPS-1の基本計画が承認されました。

1962年には、大手企業3社がそれぞれ異なる方式で研究を開始しました。三菱電機は独自の位相差技術を利用し、最終的にその案が採用されることとなりました。この技術により、精度の高い測高機能を保持することが可能になり、目標の探知距離も最大600 kmに達することが見込まれました。

技術的特徴

J/FPS-1は、複数の同一構造のアンテナを上下に配置し、送信データを受信することで、電波の仰角を算出する仕組みを持っています。当初は3枚のアンテナで計画されていましたが、設計上の課題により4枚に増えることが検討され、最終的には実用機が3枚のアンテナで構成される進化を遂げました。

このレーダーは、BADGEシステムとの接続を基本目的として設計されており、レーダー情報処理技術も確立しました。この技術は、後の航空交通管制の自動化にも寄与する重要な役割を果たしました。

開発・運用の経緯

試作機は1963年から制作され、1965年には納入されて技術試験が行われました。この間には、目視追尾や飛行機との実際の試験が行われ、多くの成果を上げましたが、1971年には台風による事故により試作機は運用を終了しました。ただし、最初の実用機は1972年に運用を開始し、その高度な性能は一定の評価を受けました。

運用は数年にわたって続けられ、各基地に配備されましたが、時の流れとともにJ/FPS-3やJ/FPS-4が後継として登場し、最終的には転換を余儀なくされました。特に、J/FPS-3は1992年に、J/FPS-4は1999年に運用を開始し、新たな警戒管制レーダーとして自衛隊への貢献を続けています。

結論

J/FPS-1は、日本の航空自衛隊のレーダー技術発展の象徴であり、その運用成果は後の技術開発や運用に深く影響を与えました。その存在は既に過去のものとなりましたが、その果たした役割は多岐にわたり、今なお多くの技術革新に生かされています。

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