Jaguar (マイクロアーキテクチャ)

Jaguarマイクロアーキテクチャの詳細

Jaguar（ジャガー）は、AMDによって開発された、第2世代の低消費電力CPUコアのマイクロアーキテクチャのコードネームです。前世代のBobcatアーキテクチャを継承し、その改良版として登場しました。2014年には、Jaguarの後継となるPuma+マイクロアーキテクチャが登場しています。

アーキテクチャの特徴

Jaguarは、2命令を同時に実行できるスーパースカラー設計を採用しており、アウトオブオーダー実行も可能です。これにより、効率的な命令処理と高いパフォーマンスを実現しています。

主な特徴は以下の通りです。

L1キャッシュ: コアごとに32KiBの命令キャッシュと32KiBのデータキャッシュを搭載。パリティエラー検出機能も備えています。
L2キャッシュ: 2つまたは4つのコアで共有される1-2MiBの統合L2キャッシュを搭載。16wayセットアソシアティブ方式で接続されており、ECCエラー訂正機能を備えています。
実行ユニット: 2つの整数演算実行ユニットと、2つの128ビット幅の浮動小数点演算実行ユニットを搭載しています。また、ハードウェアによる整数除算ユニットも搭載しています。
拡張命令: MMX, SSE, SSE2, SSE3, SSSE3, SSE4a, SSE4.1, SSE4.2, AVX, F16C, CLMUL, AES, BMI1, MOVBE, XSAVE/XSAVEOPT, ABM (POPCNT/LZCNT), AMD-Vといった幅広い拡張命令をサポートしています。

Bobcatアーキテクチャからの進化

Jaguarは、前世代のBobcatアーキテクチャから以下の点が強化されています。

クロック: 10%のクロック向上。
IPC (Instructions Per Cycle): 15%のIPC向上。
拡張命令: SSE4.1, SSE4.2, AES, CLMUL, MOVBE, AVX, F16C, BMI1のサポートが追加。
L2キャッシュ: 4コア単位でのL2キャッシュ共有設計。
FPUデータパス: 128ビットに拡張。
ハードウェア整数除算ユニット: 新規搭載。
命令キャッシュプリフェッチャ: 拡張。
ロード/ストアユニット: 帯域幅を倍増。
省電力機能: C6およびCC6ステートの突入/復帰レイテンシを短縮。

搭載プロセッサ

Jaguarマイクロアーキテクチャは、様々な製品に搭載されました。

ゲーム機

PlayStation 4|PlayStation_4 シリーズ
Xbox One シリーズ

デスクトップ

Kabini APU

デスクトップ・モバイル

Kabini/Temash APU

サーバー

Opteron X1100シリーズ "Kyoto" (28 nm)
* Opteron X2100シリーズ "Kyoto" (28 nm)

組み込み向け

Jaguarアーキテクチャは、低消費電力でありながら高性能を実現できるため、組み込みシステムにも広く採用されました。

まとめ

Jaguarは、AMDの低消費電力CPUコアとして、様々な分野で活躍しました。Bobcatアーキテクチャからの大幅な進化により、パフォーマンスと省電力の両立を実現し、デスクトップPC、ノートパソコン、タブレット、ゲーム機、サーバー、組み込みシステムなど、幅広い製品に搭載されました。

その後のPuma+アーキテクチャへの進化は、さらなる性能向上と省電力化への道を開きました。

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