Japan Post System

Japan Post System（JPS）について

Japan Post System（ジャパン・ポスト・システム）は、日本の郵便事業で採用されている生産性向上のための取り組みです。しばしばJPSやJP方式、トヨタ方式と呼ばれています。2003年1月から、トヨタ自動車の生産方式を模範に、高橋俊裕副総裁の指導のもとで導入されました。

JPSの概要

JPSの目的は、郵便事業における作業工程を徹底的に見直し、無駄・ムラ・無理を排除することによって全体の生産性を向上させることです。これは郵便物や小包の仕分けや発送、配達作業をより効率的に行い、コストを削減することを目指しています。具体的には、内務作業では郵便物をケースに規定の数量詰めることを基本にし、それに基づいて業務量を把握する仕組みがあります。外務作業では、配達物数を基準にした人員の適正配置が図られています。

しかし、郵便物処理の特性から、一定の業務量を計画することが難しく、実際には予定通りに進まないことが多いのが現状です。人員配置が実態と乖離してしまうことがあり、雇用の圧迫を招いています。特に、契約社員の勤務日数を減らす試みなどが見られますが、これは労働強化の要因となっているのが問題とされています。

評価と問題点

JPSの初期導入は埼玉県の越谷郵便局から始まりましたが、その後の報告では成果が強調されています。2006年には、生産性が約18%向上し、余剰人員が約2300人生まれたとされています。しかし、この数字には不透明な部分が多いと指摘されています。

トヨタ自動車から派遣された指導者の報告書では、多くの局で適正な業務配置がなされていないことが指摘されており、実際の効果に繋がっていない現状が浮き彫りとなりました。特に、全体の約81%が改善の取り組みを怠っているとされ、さらなる対策が求められています。また、本社の発表した数字が実態を反映していない可能性についても問題視されています。

年賀状遅配事件

2007年1月には、年賀状の遅配が日本各地で報告されました。この事態は、JPSの導入に関連しているのではないかとの疑念を呼んでいます。当時の総裁の記者会見でも、引き受け数の減少と組織の混乱が理由とされていますが、実際には年度毎の処理総数が減少していることが影響を与えている可能性があります。このことは、JPSへの不信感を増大させる一因としても捉えられています。

現在の状況

現在、トヨタ自動車とのコンサルティング契約は終了していますが、それでもJPS部門は郵便事業の中で存続しています。しかし、効果的な改善ができないまま、業務は閑職化しつつあります。また、郵便事業におけるフォークリフトやその他の機材がトヨタ製品に切り替えられることで、新たな問題が浮上しているのも事実です。これらの現状は、組織全体における生産性向上の取り組みの行方を不透明にさせています。

もう一度検索