K-60 (航空機)

K-60：大日本帝国海軍の超大型飛行艇の計画

K-60は、大日本帝国海軍が計画した飛行艇であり、実際には「十七試大型飛行艇」という名称で呼ばれていました。このプロジェクトは、戦時中の航空機のニーズに応えるために立ち上がったものであり、1939年の初めに経緯が始まります。

開発の経緯

1939年6月、日本海軍は「自昭和十四年度至昭和十七年度実用機試作計画」を策定し、12試大型飛行艇（後の二式飛行艇）の後継機としてK-60の開発を決定しました。当初、K-60は4発の2,000馬力級エンジンを搭載する機体として計画されましたが、1941年には再考が行われ、4,000馬力級の双子エンジンを持つ超大型機としての設計に変更されました。

海軍が要求した性能基準は非常に高く、具体的には最大速度519 km/h（5,000メートルの高度で）、航続距離10,733 kmまたは9,260 km、そして実用上昇限度が10,000 mというものでした。これをもとに、海軍航空本部は特にエンジンの選定に注力し、三菱重工業が計画していた複数のエンジンのバリエーションを検討しました。これには、ME2A「ヌ号」やME3A「ワ号」といったエンジンが含まれ、それぞれ異なる構成案が作成されました。最終的にはワ号エンジンを4基搭載する案が最も適切とされて決定されました。

その後、川西航空機が基本設計に着手しましたが、エンジンの完成が見込めなかったり資材が不足したりする問題が続出し、1942年には開発が中止されることとなりました。この時点で、川西社では1945年3月に、一号機の完成が予定されていましたが、最終的には実現しませんでした。

設計の特徴

K-60の設計は、その名の通り非常に大型で、二式大艇と比較すると翼面積は約2.5倍、全備重量は約3.9倍の巨大な機体となっていました。主翼には、高い空気抵抗を抑えるために外翼での層流翼の採用、エンジンと冷却器を主翼内に収納する設計が考えられました。これにより、エンジンの熱を効率的に冷却しつつ、空気の流れを工夫して性能向上を図ることを目的としていました。さらには、積層木材製のプロペラや、離水を助けるためのロケットの採用も計画されていました。

K-60は、設計された中で最大の飛行艇であったとされていますが、開発が軍の極秘プロジェクトとして進められたため、詳細なデータは残っていません。そのため、我々が得る情報は限られており、K-60の実際の性能や使用法については謎に包まれています。

諸元（第一案・計画値）

以下にK-60の具体的な諸元を示します。

• - 全長：43.24 m
• - 全幅：60.0 m
• - 翼面積：400.0 m²
• - 自重：61,500 kg
• - 全備重量：120,000 kg
• - エンジン：三菱 ワ号 液冷48気筒（離昇5,000 hp） × 4
• - 最大速度：561 km/h
• - 巡航速度：370 km/h
• - 実用上昇限度：9,950 m
• - 航続距離：11,038 km
• - 武装：20mm連装機銃 × 2、13mm機銃 × 1、7.7mm機銃 × 8、爆弾または魚雷8,000 kg

このように、K-60は当時の技術を駆使した非常に野心的なプロジェクトであり、航空機設計の歴史においても重要な位置を占めています。

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