KAL-2

KAL-2（カル・ツー）について

KAL-2は、日本の航空機メーカーである川崎航空機（現在の川崎重工業）によって開発されたレシプロエンジン搭載の連絡機です。この機体は、川崎航空機の設計部門が過去の経験を基に全く新しい設計を行ったもので、5座席の機体として1954年に初飛行しました。これは日本の航空業界における重要な一歩であり、航空自衛隊および海上自衛隊への納入が行われました。

開発背景

1954年、当時の保安庁は改編が行われ防衛庁が新設されました。この変化に伴い、自衛隊における練習機の導入に関する議論が活発になりました。川崎航空機と富士重工業の間での競争が繰り広げられる中、川崎は2機のKAL-2を製作しました。一方、富士はアメリカ製のT-34Aのライセンス生産を行い、その改良版LM-1を開発しました。

1955年に入ると、KAL-2とLM-1の審査が本格的に始まりました。結果として、防衛庁は富士のLM-1を採用することを決定しました。川崎は2回にわたっての敗北を受け、アメリカの技術を学ぶためにライセンス生産へと舵を切ることとなりました。

機体の特長

KAL-2は、KAT-1を基に設計が見直されており、全金属製の構造を持ち、近代的な前輪式引込脚を採用しています。主翼はKAT-1と同様のものを使用し、全体の機体強度を向上させ、高度な飛行が可能な設計となっています。また、キャビン部分は操縦席周囲が気泡型のキャノピーになっており、視界が大幅に改善されています。定員は乗員2人と乗客3人の合計5名となっています。

性能スペック

KAL-2の基本的なスペックは以下の通りです：

• - 全長: 8.82m
• - 全幅: 11.92m
• - 全高: 2.9m
• - 自重: 1,225kg
• - 全備重量: 1,588kg
• - エンジン: ライカミング GO-435-C2B（空冷式水平対向6気筒）
• - 出力: 240馬力
• - 最大速度: 293 km/h（M0.24）
• - 巡航速度: 213 km/h
• - 航続距離: 833 km
• - 実用上昇限度: 4,500m

このような性能により、KAL-2は当時の航空機として優れた能力を持っていましたが、生産の遅れから、量産機には国産エンジンの搭載が不採用となりました。最終的には、量産機の開発は進まず、川崎は練習機の独自開発を目指すことになります。

エンジン開発

1953年から川崎は国産レシプロエンジンKAE-240の開発に着手しました。このエンジンは、川崎航空機が自己設計で開発したもので、最初の国産エンジンとして高い性能を誇りました。しかし、開発の遅延により、試作機にはライカミング社のエンジンが搭載されることとなりました。KAE-240は最終的には製品として採用されることはありませんでしたが、国産技術の重要なステップとして今でも評価されています。

展示と現状

KAL-2の1号機は残念ながら解体されてしまいましたが、2号機は1964年に陸上自衛隊に移管され、後に所沢航空発祥記念館にて保管されることになりました。KAL-2は多くの教訓を航空機製造業界に残し、川崎航空機のさらなる発展に寄与しました。

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