KEKB

KEKB（ケックビー）について

KEKBは、高エネルギー加速器研究機構（KEK）の施設内に位置する電子・陽電子衝突加速器です。特にB中間子が大量に生成されることから、Bファクトリーとも称されています。この加速器は、CP対称性の破れを探るための重要な実験の舞台となっています。

KEKBの改造とSuperKEKBの稼働

2018年3月21日に、KEKBは5年にわたる改造を経て、その性能を40倍に向上させた「SuperKEKB」として再稼働しました。この改修は、電子と陽電子のエネルギーをそれぞれ7GeV、4GeVに引き上げ、ビームの電流も大幅に増加させました。これにより、KEKBはより多くのB中間子を生成し、CP対称性の研究において高い感度を得ることが可能になりました。

TRISTAN実験の背景

KEKBの前身は、1986年に開発された円形衝突加速器のTRISTANです。TRISTANは、日本における粒子の貯蔵と加速を可能にするために、文部省の高エネルギー物理研究所が870億円を費やして完成させたプロジェクトでした。この加速器は、電子と陽電子を衝突させるための技術として、多くの最先端の技術が結集されていました。

TRISTANからKEKBへ

TRISTANでの実験では、主にTopクォークの発見や標準理論の確認を目指し、多数の重要な成果が挙げられました。1995年に一連の実験が終了した後、TRISTANの構造を改良し、KEKBに転用しました。この改良では、衝突装置の設計の見直しや直線加速器の強化が行われ、より高いルミノシティを実現しました。

KEKBの構造と機能

KEKBは、電子・陽電子の非対称エネルギーを持つ円形衝突加速器で、周長3キロのリングが2つ設けられています。この構造により、Upsilon(4S)中間子を介してB中間子とその反粒子の対を生成することができます。KEKBでは、毎秒10個以上のB中間子対が生成されており、衝突による生成物を精密に測定する能力が高まっています。

地震の影響と復旧

2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生し、KEKBにも多大な影響を与えました。施設内では、設備が倒れたり、地下水の漏水が発生するなどの損害がありました。復旧作業においては、電力消費を管理しながら、被害状況の確認が行われました。一定の時間帯に照明を減らし、空調を停止することで、電力量を通常の30分の1以下に抑えて、状況を把握しました。

SuperKEKBの実現

KEKBの改修は、素粒子反応の発生数を増やすために行われました。高いルミノシティを持つ衝突加速器としての要件を満たすため、SuperKEKBはKEKBを超える性能を持つ加速器として設計されています。この改良により、KEKBの持つルミノシティの世界記録を上回る成果が得られています。

結論

KEKBとその改良版SuperKEKBは、粒子物理学の最前線での重要な役割を担っています。CP対称性の研究の進展を通じて、宇宙の基本的な法則を理解するための鍵を提供しているのです。これらの加速器は、世界中の研究者にとって貴重なデータを生み出し続けることでしょう。

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