KISS (プリンスの曲)

プリンスの代表作「KISS」について

「KISS」は、プリンスによるシングルであり、1986年にリリースされた彼の8枚目のアルバム『パレード』の初めてのシングルです。この楽曲は、プリンス主演の映画「プリンス/アンダー・ザ・チェリー・ムーン」のサウンドトラックとしても知られていますが、映画の中では主にフィーチャーされていないにもかかわらず、ビルボードの全米シングルチャートで2週連続1位を獲得し、R&Bチャートでは4週間1位に輝くなど、商業的には大成功を収めました。映画自体は期待されたほどの成功を収められなかったものの、「KISS」はプリンスの名曲の一つとして高い評価を受け続けています。

「KISS」は、プリンスの多彩なキャリアを象徴する楽曲であり、カバーやサンプリングの対象となることが多く、1988年にはアート・オブ・ノイズがトム・ジョーンズをフィーチャーしたカバーが全米でもヒットし、他にも多くのアーティストによるカバーが存在します。プリンスは、この楽曲を最初は彼が支援していたロック・ファンク・バンドのマザラティのために書き下ろしたもので、アコースティックなブルース・ナンバーとしてデモが作成されました。

録音はカリフォルニア州ハリウッドのサンセット・サウンド・レコーダーズで行われ、プリンス自身がリードボーカルと楽器の演奏を担当し、バックボーカルにはマザラティのメンバーが参加しました。 デヴィッド・Zがアレンジを担当し、ボ・ディドリーの「セイ・マン」に影響を受けたピアノパートや、ブレンダ・リーの「スウィート・ナッシン」からインスパイアを受けたバックボーカルが追加され、アコースティックなデモはファンキーなアレンジに進化しました。このアレンジがきっかけで、最終的にプリンスは自身のスタイルで楽曲を再構築することを決めました。

アレンジに関しては、マザラティのベーシストであるブラウンマークが、ベース音がカットされたことで不満を抱いたと言われています。この状況は、後にザ・レボリューションの解散の一因ともなったともされています。しかし、ベースラインの除去はプリンスの過去の成功曲の手法であり、彼のファルセットの美しさや独特のエモーショナルな表現を引き立てる役割を果たしました。

プリンスは「KISS」に誇りを持ちつつも、アルバム『パレード』全体は「大失敗」と見なしていたといい、この曲の存在が彼のキャリアにおける重要性を際立たせています。第29回グラミー賞では最優秀R&Bボーカル・パフォーマンス賞に輝き、後世の評価でも「KISS」はプリンスを象徴する楽曲として位置づけられ、さまざまな音楽雑誌のランキングでも上位に仕上げられています。音楽評論家からは「エッジの効いたカッティングギターと美しいファルセットが素晴らしい」と称賛されるなど、様々な形で愛され続けています。

このように、プリンスの「KISS」は、音楽史に刻まれた名曲であり、多くのアーティストやファンに影響を与え続けています。

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